夏嫌い

ナナシリア

夏嫌い

 夏はどうにも嫌いだ。


 ただ暑いだけなら耐えられる。それは心地いい疲れというものだ。


 でも、屋内のじめじめした空気や、夏の夜の重苦しい空気、そういうのが嫌いだ。


 今も、夏の夜の洗礼を受けている。


 湿気を飛ばす日差しは既に隠れ、暑苦しい駅のホームで電車を待つ。


 電車が来るまで時間があるから、授業に備えてエナジードリンクを呷る。砂糖の味が喉を乾かす。


 しばらくそうしたのちに俊敏に駅のホームへ入る電車を認め、緩慢な動きで電車の扉に向かう。


 中は人混みだった。夏の空気と人混みに、エナジードリンクの缶を強く握る。


 電車の中は涼しかったが、同時に暑苦しくもあった。長い戦いを予期して、長い息を吐く。


 電車が、塾のある駅に着いた――。

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夏嫌い ナナシリア @nanasi20090127

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