最終話 おはよう『夕陽』

あれからもう10年は経った頃、

私は息子とお墓参りに行った。


「ねぇ、母さん。父さんってどんな人だったの?」

「優しくて何より私のためを思ってくれる人だったわ」

「ふーん」息子は興味なさそうに言った。

「あ、あさぎのおじちゃんだ」

あさぎさんは彼の命日に来てくれた。

「よう夕陽、デカくなったなあ」

「ねぇねぇ、父さんってどんな人だったの?教えて教えて」

私よりあさぎさんに懐いてるのが少し悲しい。


「それはなあ、その昔『朝』と『昼』がなかった頃の話からしなきゃなんねぇーな」

そう言い声を出して笑った。



私はもう1人じゃない。

あなたとの子どもを育てていきます。

どうか見ていてください。

『夕陽』という名前に相応しい人間に育てますから。


風がクスリと笑った。

私はお墓に向かって「また1年後に」

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