第13話 壁と共に、、、

よるが壁に向かって走った。

大人たちと話している。

ここからでは声は聞こえない、

けれど夜が明けたらきっと会える。

私はそう信じていた。



そんなことは夢物語でしかなかった。



壁が崩れる。

「危ない!」私は咄嗟とっさに叫んだ。


「おい、人が巻き込まれたぞ」「早く瓦礫がれき避けるぞ」

私の視界にはまだよるがいない。


ああ、眩しい。

『太陽』はこんなにも眩しかったのか。

「ねぇ、太陽ってあったかいのね」

そう言い私は、自分のお腹を撫でた。


数日経ってからよるが亡くなったことを知った。不思議と涙は出なかった。

あさぎさん、という人と仲良くしていたと聞いて挨拶に行った。

「もしかしてよるとの子どもがお腹に居んのか?」私は頷いた。

「元気な子に育つといいな」

「そうだといいんですけどね」

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