はるばるキャッチボール。

恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界

はるばるキャッチボール

 僕は小さい頃から、運動といえば、おじいちゃんとキャッチボールと言うくらいにたくさんやっていた。

 そう、小さい頃は。中学生になって友達と部活で遊んだり、買い物で遊んだりが増えていったから、おじいちゃんとキャッチボールする機会が減った。高校生になると、さらに機会が減り、おじいちゃんとキャッチボールするのに何故か恥ずかしさがあった。大学生になって地元から離れて、おじいちゃんと会うことが少なくなった。

 大きい休みに、僕は実家に戻った。一日暇な日もあったから、急におじいちゃんにキャッチボールを誘ってみた。おじいちゃんは快く受け入れてくれた。

 一緒に公園へ行って、キャッチボールを始めた。おじいちゃんは昔と違って足腰が弱くなってたからかな、あの頃よりも鋭さがなかった。でも、楽しかった。休みの間、時々おじいちゃんをキャッチボールに誘った。それは、あの頃よりかは少し劣るが、楽しい日々だった。

 休みが終わり、再び長く地元から遠いいところにいった。紆余曲折有りながらも、それを経て、社会人になるまでの長い休みになった。だから、またおじいちゃんをキャッチボールに誘った。おじいちゃんは足腰がさらに弱くなり腕も弱っていて、近くでのボールの投げあいしかできなかったけど、喋りながらできて楽しかった。

 さらに時期が過ぎて、僕は結婚した。僕は父親になる前におじいちゃんをキャッチボールに誘った。おじいちゃんは寝ている時間が長く、手が届きそうな距離でないとキャッチボールができなくなっていた。それでも、久しぶりで、たくさん喋れて、幸せを共有できて楽しかった。

 それから数日後、僕はおじいちゃんを見届けた。最後までおじいちゃんと一緒にいてよかったって思う。

 キャッチボールは昔のほうが体を動かして楽しかったけど、それでも終わりの方もおじいちゃんとたくさん話せて楽しかった。おじいちゃんの最後をしれてよかった。

 僕はおじいちゃんが好きだ、大好きだ。今も。

 ずっと。ずっと。

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はるばるキャッチボール。 恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界 @Nyutaro

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