第3話
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……ん?
なんだ?この空間は。
いつから私はここにいたのだろう。
人が…沢山いる。
一人残らず同じ服。
そして全員ブレスレットとチョーカーがついている。
私は確か…薬の開発をしていて…
それから少し仮眠をとったんだ。
それ以降の記憶がない。
あの場所のセキュリティが破られただと?
そんなはずはない。
第一、眼の前に居る人々は皆知らない人ではないか。
いや。知っている。
一人だけ知っている顔がある。
あそこで小さい子供に寄り添って居る者…
私の仕事仲間
仕事仲間…というよりは大切な人だ。
仕事人間だった私を外へ連れ出してくれた人。
彼のほうが私より何倍も、何倍も辛い過去をもって居るというのに…
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私は知識の国インデジアに生まれた。
両親もとても賢くとても良くしてもらった。
私の国の国祭日。 知識の日では毎年10月1日にどこかの国の文化について深める。
という集まりが都市ごとにある。
毎年違う国でなくても十分楽しめたようにも思える。
流石インデジアの家系に生まれただけある。
とでも言うべきだろうか。
私が特に興味を持ったのは「ヴェルディア」という国だ。
この国の特徴を簡単にまとめると、
・緑の目は悪魔だとの言い伝え
・標語は緑を滅ぼせ、未来を照らせ
・緑の目を捧げると天使から上等な薬が手に入るらしい
こんな馬鹿馬鹿しい文化が今尚残っている国があるのかと。
私は冷めかけた。
だが、自身が薬の研究・開発に携わりたいと思っていたこともあり、
「緑の目を捧げると天使から上等な薬が手に入るらしい」という所が気になった。
捧げるとは?
そもそも天使が存在するのだろうか?
もしそれが一種の宗教だとしたら?
そんな疑問を持つと同時に
上等な薬がどんな効果を持つのか
今すぐこの目で見たくて仕方がなかった
本当に緑の目を持つ人を捧げなければいけないのだろうか。
私はその日からヴェルディアの研究に没頭した。
自分の夢である医薬品開発研究者という夢も忘れて。
毎日、毎日、国中の本を集めて読んだ。
知識の国だけあり、重要な書物や昔のデータも手続きをすれば読むことができた。
何万冊、何億冊もの本を調べたとき、分かった。
どの本も歴史や処刑の仕方、捧げ方こそ多少違ったものの全て薬の効果は同じだった。
こんなことがあっていいのだろうか。
何億冊もの本が集まれば少しくらい違って来る方が自然ではないか。
だが私は興奮を抑えきれなかった。
今すぐこの方法を試したい。
この好奇心を自分でも止めることはできない――
それから何年もかけ私はついにその方法を試す時が来た。
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彼を見ていると時々昔のことを思い出してしまう。
この集められた人々はなにか共通点があるのか。
そんなことを考える間もなく空から何かが降ってきた。
否。舞い降りてきたのだ。
「天使なんて存在するのか」
私の昔の疑問を打ち砕くように現れたそいつは。
姿こそ天使といえども。
2本の大きな角が生えていた
一等星の裁判官 あーくん @a-kunn
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