「パズル。」~10代から20代に書いた詩~

天川裕司

「パズル。」~10代から20代に書いた詩~

「パズル。」

 

「流行」

人が生きていくために必要なもの。誠か。

                  死は歴史を生む。

「死」

人が人であるために必要なもの。誠か。


「守銭奴。」

 職場で人と仲良くするのは、金もうけの場所を獲得するためだ。そして生き方を変えようと思っているからだ。生きるために金は最低限必要。そして親孝行のためにも必要だ。死ぬ以外、金が全てなのだ。金のない奴は必要ではない。ああ、頭が痛い。人と仲良くするのは決して好きでやっているわけではない。ああ頭が痛い。また明日がくる。考え方を変えなければ。


「哲学。」

哲学は嘘である。


「early morning.」

 彼の朝食は、きまって、クロワッサンだった。それにコーヒーとソーセージ、朝から紅茶は飲まない。

TVのニュースを見ながら、クロワッサンをかじり、コーヒーをすする。そして、時々、ソーセージをはさんで食べるのだ。新聞もあまりたいしたことを書いている様子もなく、そろそろ仕事に出かける時間だったので、残っているコーヒーを飲みほした。

彼は推理小説が好きで、よく本屋に立ち寄っては、推理小説を立ち読みしていた。中でも、暗めの雰囲気を秘めたものが好きで、気に入ったのがあれば定価は気にせず買ってしまう。独り暮らしの彼のマンションは、なかなかに小ぎれいにしてあり、キッチンのきれいな一室だった。

そして彼は、買ってきた小説を夢中で読み、自分なりの回想に浸っていく。その時に飲むものもコーヒーで、すすりながら読む。…彼は今日も、ベッドから出たあとは、クロワッサンにコーヒーで、時にはチーズを、…仕事に出かけて行くのである。


「小さき者。」

 小さき者が、小さき武器を持てば、力は発揮できる。


「ショック。」

 彼にはそれまで友人がいた。友と呼べる友人は4人もいた。彼は今後のことを考えたりしていたので、その4人の友人をとても大切にしていた。

その4人の友人それぞれには、他にもたくさん友人がいた。ただ、この彼も人のいい性格だと思われていたので、その4人もそれなりに仲良くふるまっていた。

だが、きまってこの4人全員と彼がいっしょにいると、いざこざが起きた。内の一人が、皆で決めたことに反対するからである。4人とも、それほどあつい皮で結ばれていたわけではないので、少しでもケンカをしてしまうと、もう仲直りはできない、というのが現実であった。

そんな5人は、もうすぐ20歳と、成人をむかえる年頃でもあった。彼はきまぐれが好きなため、その成人式には行かずに、珍しい人生などを創造したりして、行くかどうかを迷っていた。友人の4人は皆、成人式には行くつもりでいた。彼にはちょっとした人間的な問題があったのだ。

彼の親さえも気づかない程ではあったが、彼は、少し妄想が多忙だったのだ。一人でする時の妄想などはすごいものだった。常人では考えられないような発言を一人でしたり、字を書いたり、自殺こそはできなかったものの、あらゆる妄想をくり返したりするのだ。それは、最近のものではなく、少々以前からのことだった。それでも時はこくこくと過ぎていった。

時が経つにつれ彼は気忙しくなり、休みの日に戻りたいなどと思っていた。だが、彼はその妄想が幸いしてか、好きな映画俳優の笑みを浮かべて、常人を保っていることができた。そうして、式の当日、たいていの人が行く成人式、彼は行くことに決めた。“一生に一度しかないものだ”と、俳優が語りかけ、彼はスーツに着がえた。スーツを着た彼の姿は、どこへ行っても通用するような立派な着こなし様だった。そして、家で友人の電話を待とう、とTVを見ていた。そのスクリーンには、いろんな芸能人がうつっていた。楽しそうな一時に、思わず彼も笑みがこみあげていた。

待つこと30分、式の時間は10時30分から。今は10時。あと30分たらず、と気忙しくなる時間になっても友人からの電話はいっこうになかった。彼の母親は気づかい、“もう行ったんじゃないか、お金を渡すから、行っといで.”と軽く声をかけた。彼は“うん.”と小声で答え、鏡の前へ行き、一人になった。“こういうこともあろうか.”と、その様を鏡で見た時、急に怒りがこみ上げ情けなさを床に投げつけた。彼はそれでも、親には心配かけまいと、家を出た。

しかし、式場へは行かず、行きつけのゲームセンターへと向かった。“友人の顔など、見るものか.”と心に誓いまたひとつ覚えの“死”を思い浮かべ、大好きなゲームしに行った。そして、長い間ゲームをした後、帰ろうかと時計を見ると、丁度式も終わってしばらくした頃だった。

彼は、少しゲームをし足りないなと思いながら家に向かった。そして家に帰ったあと、黙って自分の部屋に行った。母親は行ってないことに勘づいたらしく、“何故行かなかったのか.”と問いただした。彼は答える気にならず、“ただ、行きたくなかったから.”と、一点張りだった。ようやく時は過ぎ、夜になった。その時になっても、友人からの電話はいっこうに鳴らず、彼は思いを切りかえ、ギターを弾いたりして、楽しく時間を過ごした。その時は一人なれども、十分に楽しめた。“人間とは合わないものだ…”と呟き、眠った。..夢の中、彼はノコギリを手にしていた。

その横には彼の友人4人が、彼に命乞いをしている。その夢の中で彼は4人の友人をノコギリで殺した。その快感と、ショックとが重なり彼は目覚めた。まだ、その印象は残っており、“悪いことを思った..”と、一人呟き、その醜さを恥ずかしんだ。時刻はA・M4:00、なかなか眠ることはできず、しばらく天井を眺めていた。そうしている内に、またその友人達への現実がよみがえって来て、仕方ないか、と思い直した。彼は妄想タイプの人間だったのだ。         ――――END―――

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「パズル。」~10代から20代に書いた詩~ 天川裕司 @tenkawayuji

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