手

第1話

先に進まない夢を見た。歯が抜ける夢を見た。

殺される夢を見た。

進む方向が前のか分からなかった。手が赤く染まり怖かった。避けることすらできなかった。

皆が笑った。皆が僕を避けた。皆が覗いた。

誰かが押してくれる。誰かが寄ってくる。誰かが手を添える。

恐怖の周りには人が集まる。

悪かれ善かれ人は集まる。

興味というものの中に紛れ込む好意に善意。

見分けながら生きる世界は孤独の角へと追いやる。

苦しんでる時に差し伸べる手はきっとある。

世界は意外と味方する。