第2話(未完)

彼女との待ち合わせ場所に行けなかった。

行かなかったの間違いかもしれない。

彼には確かに仕事の依頼が急に舞い込んできたし、その仕事はとても大切なものであった。

ただし、そうなるような仕向けたのは彼自身だった。

だから彼は行かなかったのだ。

彼の手にはスマホ。

メッセージアプリの画面には彼女に向けて仕事で遅れる旨が書き込まれていた。

震える指は送信ボタンにかかっていて、ロックもかけず、そのままベットに向けて投げだした。

ベット脇のライトにあたり、ガシャンと音がした。

ライトの下には恐竜展の前売りチケットが2枚置かれていた。


彼には大切なものを壊したくなるという欲求が昔から存在した。


大切だからこそ本当に自分が好かれているか不安になるし、今後もし何かのきっかけで嫌わせるくらいなら、いっそのこと自分から嫌いになった方がいいとすら思っていた。

他人の気持ちを考えることもできないくらい、彼は臆病で自分に自信が持てずにいたのだ。

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無題 てん @kare_pantenten

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