地球に衝突間近の小惑星が発見され、人類に遺された時間は残り一か月。しかし、この隕石がもたらしたのは絶望だけではなかった。この小惑星は接近するにつれて『魔素』と呼ばれる微粒子を地球上にまき散らし、これによって人類はそれぞれが特別なスキルに目覚めていったのだ。
そんな中女子高生の二華が手にしたスキルは「食べた相手のスキルを自分のものにするスキル」……うーん、確かに最強になれるポテンシャルを秘めた能力ではあるんだけど、うーん……。
滅亡を目前に迎え治安が崩壊した世界で、親友と一緒に女子高生がサバイブしようとする姿が大変魅力的。当然状況が状況なだけに結構簡単に人は死ぬし、殺伐とした要素も強いのだけど、二華の語り口や親友の珠々との会話は終始明るく、決してネガティブな空気にはならないのが大きな特徴だ。
少々粗削りな部分もあるが、この設定で物語をしっかり最後まで描き切っている点も見事で、一度読み始めたら一気に最後まで読み切ってしまえる内容になっている。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)