第8話
珠々が下がったのかと思ったが、視界の端っこにピンク色の髪の毛が見えるので違う。
「なぁ〜? 誰だテメェ」
ポキポキと指の関節を鳴らすチンピラさん。
「あら、可愛い子たちを脅すようなクズに名乗るような名はなくてよ」
「舐めた口聞きやがって! 俺たちの得たスキルにひれ伏せろ!」
チンピラのリーダー格はそう厨二病全開なセリフを口にする。耳にするこっちが恥ずかしくなってしまう。
「オーッホッホッホ。ひれ伏せるですか。面白いことをおっしゃいますわね。一分後に同じこと言えていると思わないことでしてよ」
パッと目の前に現れるオレンジ髪の女性。
少しだけ歳上という感じ。凛とした顔をこちらに向けニコッと微笑む。自分の顔が良いことをわかっているからこそできる笑顔だ。羨ましい。ちなみにこの場にいる誰よりもおっぱいは大きい。
うら……げふんげふん、けしからんな。その大きさは。
と、一人で興奮していると彼女はチンピラリーダー格っぽい男の首根っこを掴む。
男は若干動揺を見せるがすぐにイキリ顔に戻る。
腹立つ顔だなぁとか思っていると、男と彼女は同時に姿を消す。
かと思えばパッと空に姿を現す。
大体十メートルほどの高さはある。
彼女は手を離し、男と一緒に重力に身を任せる。
かと思えば、彼女はまた姿を消して私の目の前に現れる。
一方で男はどすんという音と共に地面に倒れ込む。
頭部からは鮮血が流れ出し、黒いアスファルトを赤色に染めていく。
さっきまでハキハキ喋っていた人が突然血を流し、白目を向いているというのは私にとってかなり衝撃の強い光景であった。
心が騒めく。
「私のスキルは
ふふふ、と不敵に笑う。背中を見せられているだけなのに、背筋がずずずと凍る。怖い。この人を敵に回してはいけない。脳みそがそう叫び警告する。
「もっともオススメはしませんよ。なにせ、私に触れられたら死を意味しますもの」
チンピラたちは目を合わせ、死んでいるであろうリーダー格の死体を背負ってせっせと逃げていく。静かな空気が戻ってきてから、彼女は疲れたぁという感じでふぅと息を吐く。
「怪我はなかったかしら?」
オレンジ髪を梳くように手で掻き分けて、華麗にターンしてこちらに顔というか身体を向けた。
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