第7話

 コンビニで無事に買い占めを行った。

 賞味期限を気にしながら買い物をすることで初めて気付くことがある。

 どれもこれも結構賞味期限ないし消費期限って近いのね。

 一ヶ月持つ食材ってお菓子とか、アイスとか、飲み物、あとは缶詰なりレトルト。そのくらいだ。その他は一週間すら持たない。良くて三日。物によっては数時間とかである。知らなかった。

 まぁそういうわけで、日持ちする食材をビニール袋に詰め込んで、両手にぶらさげながら帰宅。私も珠々も両手が塞がっている。金額にすると二万円以上。まぁ一ヶ月後に世界滅亡するからね。出し惜しみしていても仕方ない。

 「おもー」

 ぐてーっと項垂れながら歩く。私も珠々の言葉に激しく同意する。

 「嬢ちゃんたち。わるいこたぁー言わねぇからその荷物全部置いてきた」「そうだぜ、置いてったら見逃してやんよ」「重たいんだろ。ちょーど良いじゃねぇーか。こちとらそれ欲しいんだわ」

 と、チンピラたちが声をかけてくる。

 うわー、と眉間に皺を寄せてしまう。治安は徐々に狂い始めてるということか。

 それとも元々治安悪かったのかな。

 この人たち相手だとどっちなのか掴みきれない。

 普段からこういうことしてそうだし。特に見た目とかね。

 偏見だよ、めっちゃ偏見。

 にしても、どうしたもんかね。

 走って逃げるってのは無理だし。かと言って応戦できるとも思えない。

 そりゃ珠々のあのスキルがあればある程度戦えるかもしれないけど、相手だって当然ながらスキルなるものを持ってるわけで、体格と量。両方で負けてるこちらとしては応戦するって選択肢は愚策と言える。

 「二華……」

 助けを乞うような視線。

 「いや、無理だよ。私戦えないもん」

 残念なことに私の得たスキルは人を食ってそのスキルを盗むというもの。まだ誰も食べてないしこれからも食べる予定はない。つまり、無スキルに等しい。だから手を挙げて降参ポーズ。

 「えぇ二華ぁ……」

 今度は困惑するような声色。そんな声出されたって無理なものは無理。だからね、うん、珠々頑張って。応援してるよ。

 「逃げる?」

 こそっと耳打ちしてくる。

 「荷物置いて逃げるの?」

 「だって勝てないし」

 思ったよりも弱気だ。この精神状態じゃ勝てるものも勝てないだろう。

 二万円は痛いけど、ここで死ぬのに比べたら安いか。二万円を捨てるのなんてね。だからゆっくりとビニール袋を地面に置く。私たちはアニメの主人公でもなければヒロインでもない。チンピラ如きにすら勝てないか弱い女子高校生なのだ。勝てないとわかる相手に挑むほど馬鹿じゃない。勝てないのならば素直に降参して逃げされば良い。簡単な話である。

 「ちょっと待なさいな」

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