第5話

「恋奈さん。ちょっと調べさせてもらったわ」

わたしは放課後、恋奈に教室で詰め寄った。

「あなたの周囲で原因不明の自殺や失踪

が十件ほど。これどういうこと?」

「わたしにもわからないの」

恋奈が首を振った。

「わたしはなにもしていない、はず。なぜか

一方的にわたしを想ってくれた男の子たちが

非業の最期を遂げていくの。わたしにも

どうしようもなかったわ」

恋奈が哀しそうな目をして、また、首を

ふった。


「恋奈ちゃん、転校しちゃったわね」

「いいんだよ、あんなやつ」

慧も多少気落ちしているようだったわ。

「あら、恋奈さんのこと好きだったんじゃないの?」

「ちげーよ、バカ!オレの好きな子はオマエだけ、

いや、じゃあ、なかった」

「あら、うれしい」

わたしは慧のほっぺたにキスをしたの。


            (おわり)

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ワケありの恋奈(れんな) @k0905f0905

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