第4話

「そう、嵐くんクビ吊ったの」

恋奈ちゃんがさも当然といったふうな顔で

そうつぶやいた。

「そうって、恋奈ちゃん、驚かないの?」

慧が恋奈にたずねた。

「えっ、ううん、もちろん驚いてるわよ」

恋奈が妙に動揺した。

わたしはハッキリこの目で見ていたの。

「まあ、嵐くんにもなにか人に言えない事情が

あったのかもしれないし、仕方がないじゃない」

「恋奈さん、ずいぶん冷たいんだな」

そのとき慧はじめクラス中の男の子たちの

恋奈に対する態度が明らかにガラリと

変わった。

「おい、行こう」

慧がそう言うと、男の子たちも一斉に

恋奈から離れていった。

「恋奈さん、泣いてるの?」

わたしは恋奈さんの涙を見逃さずに

たずねたの。

「ううん、目にゴミがはいっただけ」

恋奈さんが消え入るように自分の席に着いたわ。

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