第4話

 ハロルドがデミグラスソースが残ったお皿たちをキッチンの流し台で静かに洗っていると、家の外からトントンとノックをしている音が聞こえた。

 ハロルドはドキリとした。もしかするとエミリーに対してフェルナンド三世がもう警察をけしかけたのかもしれない。

 そこに続いて、「ハロルドさん、いらっしゃらないですか?」という女性の声。

 すこし安心しかけたが、油断はできない。何しろフェルナンド家の私的警察団のことだ。女性の声で油断させる作戦なのかもしれない。

  だが、今反応しないと次は軍隊と成してかかってくるだろうという確信があったので、ハロルドは注意深くドアを開けた。


「こんばんわ。」

ドアを開けて出てきたのは、子供であろう少年、少女とその親であろう女性で、三人とも古着屋でかったであろう時代遅れの服を着ていて、髪はちゃんと洗えていないのかボサボサにすこし固くなっている状態だった。

 二人の子供は身長と顔、共ににているためたぶん双子で、長い髪の緑色の目の少女が姉で、ショートの紫色の目をした少年のほうが弟なのだろう。

 

「すみません、今妻は眠っていて、ご用件があればわたしが伝えておきますよ。」とハロルドが言うと、

「いえ、大丈夫です。それでは、」といって帰ろうとしたので

「すみません、こんな夜遅い時間になにをしにきたのですか?もしよかったらお茶でも用意しますよ」とハロルドは女性の手を引き留めた。

 水回りの仕事をしているのか、固く、そしてパサパサしていた。


「あっつ!」

 少年が紅茶を飲んで熱さの反動をコップをゆらす。

「あっ、ちょっと!」

「ママ、これのんでいいよね。」

 そういって少女は熱さをこらえて静かに飲んだ。

「あっこら!」

「あぁっ、本当にすみません。」

「いいえ、大丈夫ですよ。」

 勝手に紅茶を飲む二人の子供たちに母親が注意をする。

「私はエレンというもので、フェルナンドの店で皿洗いをしているものです。」

「あぁ、そうですか。妻のエミリーがお世話になっております。」

「いえいえ、こちらこそ。」

「それで、どうしてこちらに?」

「実はあなたにお願いがあるのです。」

「それはなんでしょうか?」

 

「私の子供たちに魔法を教えていただけないでしょうか?」

「はい?」

「とても難しいお願いであることはわかっています。しかし、次の神の子試験で二人が合格しないと今後食べれるのかどうかわからないのです。」

「5年前の戦争で主人は死んでからというものの、私に残されたのはこの双子のカレンとアレンの二人です。」

「かわいい二人と共に貧しいながらも幸せな生活をおくれていたはずでしたが、主人がかつての戦友と契約をしており、彼が借金をしてトンズラをしたあと、その負債が私たちにかかってきたのです」

「息子たちも来年で12を迎えて成人となり国に納税をしなければいけない国民。しかし、借金取りは私たちの子供たちを担保として持っていって風俗と犯罪事させるにちがいありません。」

「一文無しになるのは覚悟です。どうか私たちを助けてください。」とエレンはずっしりとした袋を差し出した。

 紐がゆるんでいたのか中から貨幣が出てきたがどれもすこし黒ずんだ銀貨で、それならば全財産は恐らく王宮から三キロメートルはなれた貸家を借りたとしても三ヶ月しか持たないくらいの金額だった。。

 

綾川町し0  ハロルドはしばらく考えた後、こういった。

「すみません、奥様。私には教えることができません。

 確かに神の子制度は、子供たちを王宮の学校に無償で行かせてあげることができる上、かなりの補償金を毎月おくってくれるあなたたちにとっては手に取ることのできる最後の藁であることは重々わかっております。」

「しかし、神の子試験は9月です。他の子供たちが3年程かけて初期魔法のファイアを習得する一方、あと4か月で間に合わせるのは至難技です。」

「それに、神の子試験はとても倍率が高いです。英才教育を受けた子供たちが受ける一番楽な知の巨人部門でも5倍もの倍率があります。」

 「しかも、あなたが子供たちに受けさせたい魔法使いの部門はあなたと境遇の同じような子供が何人も受けるので、倍率は125倍ととても高くなっています。」

「そして最後ですが、あなたの娘さんには魔力を見受けることができません。私は下っぱの魔法の研究者ですが、長い間研究してきたので、相手の魔力量をある程度は体から出ているオーラで推量することができます。」

 「あなたの息子さんにはかなりつよい魔力はありますが、娘さんにはそのオーラがまったくみられません。魔法使いのつよさは魔力量に比例するともいえるので、恐らくですが魔法使いのその門すら入ることができません。」

「どうかお引き取りしていただけませんか。」


 

「そうですか、、、やっぱり、無理なお願いだったのですね。お話聞いていただきありがとうございました。」

 そうして、子供をつれて帰ろうとしているエレンにハロルドは自分に対してため息をついた。

 魔法の真髄を研究している自分だ、3か月ならなんとか試験合格くらいの魔法は教えることができるし、無償で二人を教るくらいは普通にやってあげることができる。

 問題は、緑色の目の子供の方だ。

 魔法使いは絶対的魔力主義で、あるていどの魔力量がないとそもそも試験にはいる前に足切りを食らってしまう。

 魔力を完全に体内に閉じ込めることのできる器がたの人間である可能性も肯定したいけど、そんなことは稀有だ。

 どうしてやったら、よいだろうか。

 ここまでいってしまったからには片方だけ引き取って教えてあげるということもいいにくい。

 どうしてやってあげたらよいんだ。


 そのとき、テーブルにうつ伏せになって眠っていたエミリーがふらっと起きた。

「おはよう、ハロルド。って、おおーエレンと双子のカレンとアレンじゃん。」

「おはようございます、エミリーさん。」エレンが言う。

「おはよう、エミリーお姉さん!!」双子がいきをあわせていった。

「どうして、こんなところにいるの?」

「じつは、ハロルドさんに子供たちへ魔法を教えていただけないか聞いてみたのですが難しいと言われましたので、、、」

「えー、なんでハロルド教えてあげないの、ハロルドのケチ!」とエミリーが短く下を出す。

「いや、教えてあげたいんだけど何しろ女の子のほうが魔法を使うことのできないフィーブルだから、」

「だからって、アレンの方は教えてあげることはできるじゃん!」

「けど、どうやって女の子の方も神の子試験を受からせてやったらいいのだい?」

 エミリーはそう聞かれて15秒ほど考えた後てを叩いて、

「そうだ、私がカレンに剣術を教えてあげたらいいんだ!」と言った。

「けど、4か月後の試験に受からせることはできるのかい?」

「それは、大丈夫!私四月まで騎士の最長老として何百人も後輩を育ててきたし、仕事もクビになったからいつでも教えてあげることができる。」

「それになにより、実技がダメだったとしても私の推薦した子っていったらたぶん受かるから。」

 それって、エミリーじゃなくて父親のヘンリー·へラルド·フェリア伯爵の圧力なのではハロルドは口に出したかったが、

 その前に、

「それじゃあ、お駄賃は友達だから無料!ハロルドの塾は5時頃に終わるから、明日の六時から毎日この家にやってきてね!」

 と言い終わった。

 

「ありがとうごさいます!!このご恩一生忘れません!」

 エレンは二人の子供の頭を下げさせた。あまりにも深かったので、弟のほうが体がパキッと言う音がして「痛いっ!」と声を出した


「あしたからよろしくお願いします。」再び深すぎるお礼をして、カレン一家は帰っていった。


「それじゃあ、あしたからよろしくね!それじゃあ、おやすみ!」

「うん!」

 ハロルドは苦笑いも含めてにっこり笑った。

 そして、やっぱりエミリーはすごい人だとハロルドは改めて思った

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