第7話 じっとしてられない
昼休みが明けてまた授業が再開した。
生徒たちは何かと勉強熱心に励んでいる。
ここは『
ボクにしてみれば。
薬草など道具屋に行って金を出せば幾らでも手に入ったものだから。
調合などの知識をわざわざ勉強をしてまで頑張る必要がなかったわけだ。
まったく知らないというわけではないが。
たとえば錬金術というものがある。
それには2種類あって。
「錬金がま」と「錬金魔法」の2種だ。
前者の「錬金がま」は固定のレシピを入手してその通りに素材をいれる。
すると調合された別のアイテムに変化されるので取り出す。
レシピは買って必要素材は買うか採取、収集してくる。
後者はその名の通り、魔法なのだ。
ある程度の魔法を使いこなす魔法使いであることが条件だ。
高い魔力が要求されるからだ。
これには「錬金がま」は不要だ。
素材が手元にあれば調合ができてしまうそんな魔法なのだ。
学園で教わるのは教材的なものだから、前者のほうだ。
自己紹介の前にボクが座っていた自由席があった。
そこに書物とともに「錬金がま」がいくつか置かれていた。
学園生が自由に使用できる学園の備品だろう。
シャンティがそちらの席に移動している。
そして午前中に採取に出かけた生徒達もそこで実験をしているようだ。
組み合わせを試しているのだな。
教科書通りならそれほど苦労はない。
先駆者が研究したものだ。
レシピにないものを放り込んでも配合が合わなければ素材は減らず反応はない。
反応とは化学反応だ。
本格的な勉強はしてないから、化学とかはわからん。
世界中のこういう学園で新発見のアイテムが出現することもある。
その者に自分が成れれば表彰されることもある。
「発見者」と呼ばれその後も期待され、尊崇を集められるらしい。
適当に素材を「錬金がま」に放り込めば新発見につながる。
だがその可能性は現代では非常に低い。
大昔なら期待値が高かった。
暮しの中にある身近な素材では試し尽くされているからだ。
たとえば「エリクサー」という高額希少なアイテムがある。
超回復薬としてその存在は確認されている。
入手したとしてもそこら辺の冒険やレベル上げなどで使用する場面はない。
中堅の冒険者にはもったいなくて必要視されない。
だからあまり研究が進められていないのだ。
これは「錬金がま」ではまだレシピがない。
古代の錬金魔法と希少アイテムで生成されたものらしい。
もともと、いにしえの錬金術師が生み出したようだ。
生成法は秘匿されていて公表されていない。
というか歴史の中に埋もれてしまった秘術なのらしい。
調合に使う素材は不明点が多い。
エリクサー自体、入手困難で希少価値がとても高い。
ボクも仲間が持って居たのを見せてもらったことがある。
しかし魔王討伐の際も結局だれも使用しなかった。
エリクサー症候群なんて言葉が巷で出回っている。
ボクのものではなかったが。
魔王討伐のPTも
午後の授業は自由研究のようだ。
勉学が目的ではない。
なんと退屈な時間であろうか。
「約束の時間までじっとしていられない……」
皆、勉学に夢中のようだ。
ボクのような学園生が『
学費も保護者が出しているのだし、小学部、中等部、高等部。
下からあがって来たのなら頑張らねば申し訳ない。
高等部までに卒業の見込みがないならとっくに離脱している。
勉学についてこれないと本人が苦しいだけだ。
通常の教育学校ではない。
出席日数だけで卒業できないのだ。
一定の成績あるいは優秀であること。
ほかには新発見による「発見者」という功績があれば良い。
それは博士号なみの手柄と見なされているからだ。
まあ、どれもボクには無関係だけどね。
隣席のメガネ男子ピノもそちらへ行っているようだ。
自由研究の午後の授業はまだ始まったばかりだ。
自分の席にポツンと居て、何もしていないと何か言われそうで不安だ。
自由研究なので外出している生徒もいるようだった。
放課後まであと2時限ある。
1時限約40分、合わせて80分。
ああ退屈だ。
シャンティとの待ち合わせは放課後なのだ。
ボクもすこし外出でもしてこようかな。
ここはまじで退屈だ。
他の教室は何をしているのだろうか。
『
他種族が講師やゲストでやって来るようだ。
他種族との関わり方を学んだり触れ合ったりしていると聞く。
というよりほぼ他種族の教室のはずだからパス。
『
戦闘経験のため放し飼いにされた魔物がいる広域施設があったはずだ。
剣術指南役がいて対人戦ルームも複数あったと記憶している。
まだ駆け出しの頃、「ソードギア」の応援隊と合流したことがあったのだ。
当時の彼らから話には聞いていたけど。
他にも教室はあるだろうな。
約束に遅れるわけにいかない。
『
──────
第一章 (終)
ルタ・パリィ伝~うわさの隠れキャラにボクが任命されました~ ゼルダのりょーご @basuke-29
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