番外編.声無き大声(7章)

【前書き】話タイトルの(◯章)は本編◯章までのネタバレがあるという意味です。


「熱狂応援! ミソラチャンネルぅー!」

「ふむ。ドンドンパフパフだ」


上位チャット:逆神様の時間だー……ん?

上位チャット:なんか、ん?

上位チャット:ちょっとその、んんん?


「この配信では、タレントのドレミソラが様々な人や団体を本気で応援していくものだ。苛烈な罰ゲームもあるが、それも含めてとてもいい配信であると私は……む、いかん。途中から私の個人的な感想になってしまったな」

「大丈夫です、社長さ……リクくん! まだ挽回できます!」


上位チャット:今、社長って言った!

上位チャット:絶対言った!

上位チャット:スタッフじゃなくてエルフに自信ニキ社長やんけ!


「気のせいだ。私は副団長リクである」

「その通りです、リクさん!」


上位チャット:リクさんw

上位チャット:さん付けになってるw

上位チャット:どうしてこうなった

上位チャット:説明をくださぁい


「ふむ……実はドレミソラの相方であるリクが風邪をこじらせてしまってな」

「そうなんです……。お医者さんにも肺炎一歩手前とまで言われちゃいました」


上位チャット:え、大変じゃん

上位チャット:大丈夫なの?


「心配はない。彼の病状はすでに落ち着いており、普通の生活にも戻っている。ただ、」


上位チャット:ただ?


「ノドを痛めて声が出ないそうだ」


上位チャット:あらら

上位チャット:それは困った

上位チャット:出演もできないね

上位チャット:残念


「はい、とても残念なんです……」


上位チャット:およ、逆神様も残念なんだ

上位チャット:配信ではスタッフにいじら……いじめら……弄(もてあそ)ば……罰ゲームさせられてるから、安堵(あんど)してるかと思ってた

上位チャット:いい言葉が見つけられた団員、これは親衛隊候補生

上位チャット:言葉に迷いすぎなんだよなぁ

上位チャット:正直、意外だった


「いえ、本当に残念ですよ!」


上位チャット:あ、ごめんなさい

上位チャット:そうだよね、大事にしてる弟だもんね

上位チャット:いじら……いじら……いじら……いじられてても大事なことに代わりはないよね

上位チャット:自分の心に素直な団員、これは親衛隊候補生

上位チャット:ザル判定なんだよなぁ

上位チャット:ちゃんと家族愛はありそうなんだけどねw


「だって――寝込んでるリクくんはいくらでも甘えさせられるんですよ! こんなの年に一度もない大チャンスじゃないですか!」


上位チャット:おおっとぉ?

上位チャット:いかん、お姉ちゃんの暴走だ!

上位チャット:そういえば、逆神様は逆神様で愛が溢れてたんだったw


「リクくんがたくさん寝込んでてくれたおかげで、私はとっても充実しました」

「ドレミソラ」

「声も出ないからお世話し放題で、リクくんが赤ちゃんのころを思い出しましたよー」

「ドレミソラ、その辺りで」

「何を隠そう、この私! リクくんのおむつを換え――ふんぎゃあああああ!?」


上位チャット:あ

上位チャット:あ

上位チャット:あ

上位チャット:あ

上位チャット:あっ

上位チャット:逆神様?

上位チャット:逆神様ー?

上位チャット:おーい

上位チャット:ダメみたいですね


 ――ブツッ!


上位チャット:マイク切られましたね

上位チャット:多分、そこにいるんでしょうね

上位チャット:副団長スタッフが元気そうでよかったよかった

上位チャット:よかったよかった(逆神様アバターがのたうち回ってるけど)

上位チャット:よかったよかった(不規則に震え始めたけど)

上位チャット:よかったよかった(あ、止まった)

上位チャット:南無


「……配信を終えてもいいだろうか?」


上位チャット:あ、はい

上位チャット:どうぞ

上位チャット:エルフに自信ニキ、お疲れ様でした

上位チャット:スタッフと逆神様、お大事に



※新作『その誇りに代えても』は書き溜めが尽きるまで毎日お昼12時に更新します。

https://kakuyomu.jp/works/16818093076213231611

無料でも、当面は1更新遅れで全話ご覧いただけます。

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