第6話 リズムをとろう ♪

 私はゆっくりと言った。


 「永痴魔です。今の、小烏つむぎさんの・・『奇数音節は、リズムが良くて流れるように聞こえるのはどうしてか?』というご質問ですが・・・皆さんは、学校の音楽の時間に、先生から『タンタタタンタン』というように、『タン』と『タ』を使ってリズムをとるように習いませんでしたか?」


 「ハナスです。思い出しました。そう言えば習いましたわ」


 「スミレだよ。ハナスちゃん、思い出しました・・って・・私たち、26才なのよ。学校のことって言っても、つい、この前の話じゃんか! そんな大昔のことのように言ってはダメだよ。みんな、ビックリするじゃん!」


 「のこでぇすぅ。ビックらし、屁をぶちかます、のこ姉ちゃん(ブー)」


 「おちゃまでぇすぅ。げほ、げほ・・」


 「小烏つむぎです。おちゃまさん。のこちゃんの屁でせる声まで、名前を言わなくてもいいって言ってるのに!」


 「結音(Yuine)です。私、14才だよ」


 「のこでぇすぅ。結音(Yuine)ちゃんって、14才! ビックらし、・・・」


 「ハナスです。のこちゃん、屁はこかなくていいの!」


 「のこでぇすぅ。めんご、めんご」


 「おちゃまでぇすぅ。げほ、げほ・・」


 「のこでぇすぅ。おちゃまさん。私、まだ、屁はこいてませんよぉ~💦」


 「おちゃまでぇすぅ。のこちゃんだけに・・・さっきの、のこちゃんの屁がまだ残()っていますぅ」


 「スミレでぇすぅ。ぎゃび~ん! 座布団2枚!」


 「永痴魔です。え~・・コホン・・で、よく言われるのは、四分音符(♩)を『タン』、八分音符( ♪ )を『タ』とするリズムの取り方ですよね。これと同じように、2音節を『タン』、それ以外の音節を『タ』として、俳句のリズムを取ってみてください」


 「つむぎです。永痴魔先生。具体的には、どういうことでしょうか?」


 「永痴魔です。例えばですね、有名な芭蕉の『古池や かわず飛び込む 水の音』を例にあげてみましょう。これは・・


 古池や・・・・5音節

 かわず飛び込む・・7音節

 水の音・・・・5音節


というように、五・七・五の奇数の音節で構成されています。


 これを『タン』と『タ』で表現すると・・


 古池や・・は・・古(ふる:hu・ru)+池(いけ:i・ke)+や(ya)・・ですから、2音節の『古』と『池』を『タン』、1音節の『や』を『タ』とすると・・

 『タンタンタ』というリズムになります。


 同様に・・


 蛙飛び込む・・は・・『蛙(かわず)』は3音節で『タタタ』、『飛び』と『込む』は2音節で『タン』ですから・・・『タタタタンタン』・・


 水の音・・は・・『水』と『音』は2音節で『タン』、『の』は1音節で『タ』なので・・『タンタタン』・・・


 通しで言うと・・『タンタンタ タタタタンタン タンタタン』と流れるようなリズムになるでしょう」


 「スミレだよ。すげぇ~、本当だ」


 「ハナスです。すげぇ~・・だなんて、スミレちゃん、お下品よ」


 「スミレです。めんご、めんご」


 「ハナスです。私たち、うら若き乙女は『すげぇ~』ではなく、『エッチ、スケッチ、ワンタッチ、ブラジャー脱いだら3センチ、パンティ脱いだら、すげエッチ』って、お上品に言わなきゃいけないわ」


 「おちゃまでぇすぅ。すげぇ・・『ッチ』の中に『すげぇ』が入ってる!」


 「永痴魔です。え~、話を戻しますよ。・・・では、これを・・今度は、偶数の音節で構成される表現に変えてみましょう。例えばですね・・


 『古池 かわずが飛び込む 水音みずおと


としてみましょう。これを『タン』と『タ』で表現すると・・つむぎさん、どうなりますか?」


 「つむぎです。え~とぉ・・『古池 かわずが飛び込む 水音みずおと』ですから・・『タンタン タタタタタンタン タンタン』・・ですね。なんか、文が流れずに、切れている感じがします」


 「永痴魔です。そこなんです」


 「のこでぇすぅ。えっ、どこ、どこ?」


 「ハナスです。のこちゃん、止めなさい」


 「のこでぇすぅ。めんご、めんご」


 「永痴魔です。そうなんですよ。奇数の音節だと、流れるように聞こえる・・偶数の音節だと、文が切れて聞こえる・・これが、私たち日本人の感性なんです。このことが、小烏つむぎさんの・・『奇数音節は、リズムが良くて流れるように聞こえるのはどうしてか?』というご質問の答えになるんです。・・・皆さんも、このように『タン』と『タ』を使って、リズムを考えながら、俳句を作るといいですよ」


 「司会のお姉さんでぇす。皆さん、分かりましたかぁ?」


 「つむぎです。永痴魔先生、よく分かりましたぁ♪」


 「スミレです。すげぇ・・じゃなくて・・エッチ、スケッチ、ワンタッチ、ブラジャー脱いだら3センチ、パンティ脱いだら、すげエッチ」


 「のこでぇすぅ。私もよく分かりましたぁ。で、『タン』と『タ』を使うと言うと・・・私、『♪ タンタン、タヌキの、〇んたまはぁ~・・ ♪』って歌を思い出しちゃうんですぅ。私、この歌、昔から大好きなんですぅ。今でもよく歌ってますよぉ~」


 「結音(Yuine)です。のこちゃん、『〇んたま』っていうのは・・レディース、メンズ、ティーンズ、子供服&おもちゃ、お土産、アクセサリー&ジュエリーから・・ハナスちゃんのフンドシ、スミレちゃんの赤スキャンティまで・・なんでもそろうところね」


 「おちゃまでぇすぅ。結音(Yuine)ちゃん、違うわよ。結音(Yuine)ちゃんの言うのは、ハワイのワイキキにある『ーナショナル ーケット プレイス』というショッピングセンターでしょ。略して『インタマ』のことよ。・・・でもね、のこちゃんの言う『〇んたま』というのはね・・・願いを叶える宝石を意味するサンスクリット語で、アメリカのアリゾナ州で発見され、科学的にはサフォーダイト隕石 、つまり、隕石ガラスと呼ばれているものなのよ」


 「ハナスです。おちゃまさん、違いますよ。それは、純粋な光と愛を発生させ、魂の純粋さを明らかにする鉱物と言われている『チンタマニストーン』の『チンタマ』ですよ。・・・のこちゃんの言う『〇んたま』というのはですね、形状が円形をしているために、海中で潮の影響を受けにくく、クルクルと回転することがあまりないものなんですよ」


 「ともはっとでんねん。ハナスちゃん、それ、違ってまんで。ハナスちゃんの言うのんは、釣りに使われるオモリの『ガン玉』のことやんか! ガン玉はフカセ釣りに使うねん。ウキを使ったフカセ釣りは、出来るだけオモリを使わず、マキエとツケエを常に同調させ、より自然に近い状態で仕掛けを流す釣り方なんや。せやから、フカセ釣りでは、仕掛けの操作性向上手段、狙ったポイントへ確実に流す手段、ウキの浮力の微調整用手段として、ガン玉が必須なんや。皆さん、ええか! ガン玉の使い方をしっかり覚えんとあかんで!・・・てか、なんで、ワテが、こんなに熱弁をふるってんねん!・・・で、のこちゃんの言うのんは・・・出汁は化学調味料等を一切使用せず、数十種類の安全な具材を厳選し、一切の妥協なく、丁寧に仕上げて・・・自信を持ってお客様にご提供しているところのことやんか!」


 「蜂蜜ひみつです。ともはっと師匠、違いますよぉ。師匠の言うのは・・鉄板で絆深まるご宴会・・をキャッチフレーズにしている、月島もんじゃの『もんたま千葉中央店』の『もんたま』でしょ。・・・のこちゃんの言うのは、のこぎり刃がついた輪状の工具で、板金を切断するための機械のことですよ」


 「歩です。ひみつちゃん、違ってますよ。ひみつちゃんの言うのは、帯鋸盤おびのこばんとか、バンドソーとも呼ばれる『コンタ―マシン』の『コンタマ』のことでしょ。『コンター』とは輪郭のことで、『コンタマ』は、板に描いた線に従って、板など加工品を動かして外形を加工するのに用いるんですのよ。・・・でも、のこちゃんが言うのは、『人生』の要素を付け加えたものでしよ。つまり、ご飯をあげる、トイレの世話をする、結婚してジュニアを誕生させるといった、従来の楽しさはそのままに、進学したり、就職したりする『人生』の要素を付加したものなんです」


 「るしあんです。歩さん、違いますよ。歩さんの言われるのは、『たまごっち』の進化版の『じんせーエンジョイ! たまごっちプラス』、通称『エンたま』のことですよ。・・・そうではなくて、のこちゃんの言うのは、郵便番号904-0324、沖縄県中頭郡読谷村長浜1787-2にある、美味しくてオシャレなお店のことですよ」


 「ブロッコリー食べました、通称、ブロ子・・です。るしあん兄さん、それ、違うわよ。るしあん兄さんの言ってるのは、イタリア料理店の『ミンタマ』のことでしょ。・・・のこちゃんの言うのは、そうじゃなくてね。・・・きっと、北野白梅町駅を出て、徒歩14分のところにあるカフェのお店のことよ。1階の玄関で靴を脱いで2階に上がると、カウンター席と和室のテーブル席があるのよね」


 「磧沙木 希信です。ブロ子お姉さん、それは違うんじゃないかなぁ。ブロ子お姉さんが言うのは、 郵便番号602-8474、京都府京都市上京区千本通今出川上ル上善寺町96の『茶寮SENTAMA(せんたま)』でしょ。・・・そうではなく、のこ姉さんが言ってるのは、小豆のおいしさを一口サイズに丸めたものなんですよ」


 「🌳三杉令です。磧沙木 希信君、それは違うと思うよ。磧沙木 希信君の言うのは、原材料が生あん、砂糖、水飴で・・内容量が170gで販売されている、『ふる里の味・あん玉』のことだろ。・・・そうではなくて、のこちゃんが言うのは、夜間に空中を浮遊する光のことだよ」


 「豆ははこです。🌳三杉令さん、違うわよ。🌳三杉令さんの言うのは、『人魂(ひとだま)』を無理して読んだ『人魂(じんたま)』でしょ。・・・そんな無理して読まなくても、のこちゃんの言うのは・・鍋にお湯を沸かして、沸騰したら火を止めて、卵を入れ、そのまま15分おくのよ。で、氷水に入れて冷まして、完成するものよ」


 「小烏つむぎです。豆ははこちゃん、違ってますよ。豆ははこちゃんの言うのは、『温泉たまご』の『温たま』でしょ。・・・のこちゃんの言うのは、『タヌキが和尚に化けて、お灸で村の人を助け、そのお礼でお酒を買っていた』という民話に登場するお酒好きのタヌキがモデルとなった、お祭りのことよ」


 「スミレだよ。つむぎちゃん、違ってるよ。つむぎちゃんの言うタヌキは、東広島市の観光マスコットの『のん太』だよ。で、つむぎちゃんが言うのは、東広島市の酒処の西条で行われる『のん太祭り』の『のんたま』でしょ。・・・でもね、そうじゃなくて、のこちゃんが言うのは、うどんをお代わりするときに、お店の人から聞かれることじゃんか!」


 「のこでぇすぅ。スミレちゃん、それは『何玉(なんたま)?』でしょ。・・・


  しっかし、『〇んたま』って、一杯あるのね。・・・


  私、なんだか勘違いしていたみたい。私、乙女だから、てっきり・・・


  『〇んたま』っていうのは、オトコの人の〇〇〇〇だと思ってたわ」


 (ラジオを通して・・日本全国)「ぎゃび~ん!」


         (永痴魔先生の俳句教室 おしまい)




(著者註)

 本文中、『エッチ、スケッチ、ワンタッチ、ブラジャー脱いだら3センチ』は・・

 楠瀬スミレ様の大傑作『話したくって昭和ないからドンピシャの人いらっしゃ~い!』の中の・・

 『第11話 謎の言葉』にある・・

 「エッチスケッチワンタッチ、ブラジャー脱いだら3センチ!」・・

借用したものです。

 『第11話 謎の言葉』のURLはこちらです。面白いから、ぜひ読んでね。

https://kakuyomu.jp/works/16816927859441396856/episodes/16816927861142622382

 スミレ様「金、払えよな🤑💵」

 ハナス様「そうよ。無断借用なんて、信じられな~い」

 のこ様 「無断! ビックらし、屁をぶちかます、のこ姉ちゃん(ブー)」

 おちゃま様「げほ、げほ・・」


 お読みいただいて、ありがとうございましたぁ~♪

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永痴魔先生の俳句教室 永嶋良一 @azuki-takuan

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