第3話 怪しい店
講義を受け終えた日持は、家とは逆方向にレンタル自転車を走らせていた。そして、自転車を止めて1つの路地裏に入り込んだ。「占いします」
ブラックボードに手書きで書かれた看板が怪しさを増していた。先月の中頃、サークルの後輩が話していたのを盗み聞き、先週場所を突き止めたのだ。しかし、その時は店主の体調が悪かったらしく、店は開いていなかった。そんなこともあり、日持は1週間待ってもう一度やって来たのだ。恐る恐る店の中に入り、待合席と思われる椅子に腰掛けた。「入りな」奥から聞こえた、若い女性とも老婆とも言えるような不思議な声に、日持は従った。奥に進むと、アニメでしか見ないような大きな水晶玉と、顔を隠した女性が待っていた。「用件を言いな」静かで、優しい声だった。「どうして僕はモテないんですか!?」日持は、今までの気持ちを全てぶつけるかのように問いかけた。3分程の沈黙の後、占い師が口を開いた。「負の気配は感じた。けど、アンタに負の気配は無い」日持には意味が分からず、言葉が出なかった。そして、占い師は付け加えた。「多分、アンタの同居人か何か、身近な人の負がアンタにも移ったんだろうね」
店を出た日持は、怒りを抑えていた。そして、「その同居人がいないから聞きに来たんだろうが!」心の中でそう叫んだ。
童貞ホームシック @debuking
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