#Ⅵ ここから始まる“イヴ”での仕事
ーレンサイドではー
ひなさん…?ひなさんどうしたんだろう…やっぱり属性がなくてガッカリしてるのかな…?
「レンくん…」
「は、はい!?」
「…レンくん…!!レンくんは選ばれし者なんだよっ!!」
「え、え?えーーーーーーーっっ!?!?」
選ばれしもの…???え、俺がっ!?他世界から来たのに!?
「レンくんの数値はプロ間近よ!!!!74リキ/100リキだよ!!!!」
「なんかよくわかりませんがやったーーー!!!!!」
「レンくんの属性は【葉ノ舞】でね、葉の攻撃ができるよ!」
「葉ですか…いいですね…!!」
「でしょでしょ!??ちなみにあたしは【華ノ舞】!!!あ、早速外出て練習しよ!」
「あ、はい!」
これから俺も“イヴ”としてひなさんと活動していくことになった。これからどんなことが待っているのだろうか。
ー俺は数日後に絶望以上なものを味わうことに知る由もなかったー
「これから練習していくよっ!まず、【葉ノ舞】の技法名からだね!じゃあ、レンくん!あの的に向かって手を伸ばしながら唱えてね!【葉ノ舞
「【葉ノ舞 葉風】!!」
すると、俺の伸ばした手からものすごい勢いで葉がたくさん含まれた風が出た。もちろん的に命中した。
「すごいよレンくん!!勢い強くていい感じ!!じゃあ次行くよ?次の的に手を伸ばしながら唱えてね!【葉ノ舞
「【葉ノ舞 散葉多針】!!!」
今度は無数の葉が針になって的に当たった。的は壊れなかった。
「あれ…?」
「大丈夫!!この技法はもっと鍛えたら壊せるから今は壊せなくても大丈夫!!」
「はい!!」
そしてひなさんは真剣な顔になって言った。
「次言う技法は絶対非常時以外に使わないでね…?」
「はい…!」
「【葉ノ舞
「【葉ノ舞 揺木ざ…」
と、俺が唱えようとした瞬間…ひなさんは俺の口を手で塞いだ。
「しーっ、これは非常時用だって。だから今はだ〜めっ!」
そう言ったあと、ひなさんは歯を出して笑ってみせた。口を塞いだ時のことを思い出して俺は少し赤面になる。
「よし!早速走り込みしたり体力をつけよ!」
「え、えぇぇぇ〜〜〜っ!?!?」
俺は長時間走ったことは最近ないからとても不安。
「ほら!あたしについてきて!」
「あっ!?はい〜!?」
ひなさんと森の中へ入る。あたりは綺麗な緑。綺麗な自然なカーテンみたいな感覚だった。しばらく走ると綺麗な湖が見えてきた。
「おつかれさま!ここ、水が綺麗だから飲もっか!」
「はい!!」
綺麗な水はとてもおいしかった。
「おいしかったです!」
「そうね!…!レンくん危ない!!」
「え…?わっ!?」
ひなさんに抱かれて地面に転がる。そこには一体の悪人がいた。
「悪人…!!!」
「えっ…!?これが悪人…!?」
頭の中がパニックになった。
「っ…誰かが放出したんだわ…!!!」
俺は勇気を振り絞って素早く立ち上がった。そして悪人に向かって手を伸ばす。
「【葉ノ舞 葉風】!はぁぁぁぁあっ!!」
俺の勇気を出して放った葉の風は勢いを増して悪人に命中した。
「消えた…?」
「倒したんだ…レンくん!!レンくんが倒したんだ!!!」
「俺にも…俺にもできたんだ…!!」
俺は嬉しくて仕方がなかった。その後ろでは闇の影が動いていた。
「勢いが強い奴だな…1
やがてその影は遠くへ消えた。
「まだまだ走るよっ!」
「はい!!」
俺とひなさんのトレーニングは充実していた。筋トレに走り込み。そして技法の力加減。いろいろ大変だけれどもだんだんチカラが強くなってきた。
ー数日後の夜ー
俺は夢を見た。
「ひなさん…!!ひなさん!!待ってよ!」
ひなさんとだんだん距離が遠くなっていく。離れていく。ひなさんは辛そうに、そして必死に口を開ける。
「うゥ……レンくん、私ヲ救ッてね…」
ひなさんの喋り方はカタコトでどんどん消えていく。
「待って!!行かないで!!!!」
そう叫んだ時、目が覚めた。俺は起き上がり、窓に目を逸らして
「今日はイヤな予感がするな」
と、呟いた。
煌めきひろがるこの“異世界”で 宮野迷子 @maico_
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