第2話 変わり始める日常


 波乱の1日が過ぎ次の日、けたたましい音のアラームと共に目が覚める。まだ、昨日のことが嘘のように感じる。それもそのはずだ、この僕に彼女ができたのだ。それも学園一の美少女と言われる音崎先輩だ。いまだに、実感がないのだが確かに昨日僕は、お試しという形ではあるが先輩と付き合い始めた。

すると、スマホからブーブーと音が鳴る


「げっ……先輩からだ!?」


 僕は、嫌な予感がビンビンに伝わってくるがこのまま出なければまた、面倒くさい事になるだろうと思い電話に出た。


「おっはよ〜う♡優くんの愛しの彼女音崎鈴音で〜〜す!!」


「いきなり大きい声出さないでくださいよ!!!鼓膜が破れるとこでしたよ!?

それに、こんな朝早くから何ですか!?

余計な連絡はしない約束でしたよね?」


「えーそうだったけ〜??」


「そうでしたよ!!」


 まあ、昨日の反応を見たら絶対忘れてるだろうなとは思った。もう、変に期待するのはやめよう。先輩はこうゆう人間なんだと再度認識した。


「それはそうと……今日、一緒に登校しない??」


「昨日も、言いましたよね?他の生徒にバレるような事はしないと?そんなバレる事絶対に嫌ですよ!」


「……ん?そんな事言ったけ??」


「言いましたよ!!」


「で……でも、せっかく付き合い始めたのに一緒に登校できないなん私、寂しくて泣いちゃいそう……」


 どうせ、嘘をついているに違いない。

あの、先輩が一緒に登校できないだけで泣くなんて絶対にあり得ない事だ。

すると…電話越しからすすり泣く声が聞こえる。


「せ、先輩?……もしかして、泣いてるんですか?」


 突然、電話からすすり泣く声が聞こえるから僕も、びっくりしてしまう。


「だ、だって優くんが嫌だって言うから私、優くんに嫌われたかと思って本当に悲しくなって……ごめんね?こんな面倒くさい女で……」


「嫌いになんてなってませんよ?ただ約束は約束ですから、僕みたいな陰キャは

目立つ事が嫌いですから一緒に登校なんてしたら目立ってしまうし、他の生徒に何されるか分かったもんじゃありませんよ」


 一緒に登校なんてしたらそれこそ他の生徒に何されるか分からないしそれこそ

殴られるかもしれない。


「じゃ、じゃあ……週に一回だけでも一緒に登校したい……だめかな?」


 出た!!急に甘えた声…僕は、この声に弱い。だが、ここは心を鬼にして先輩に言う。


「それでも、だめです!」


「うぅっ……ほ、本当にダメ?」


「うっ」


 まずい、このままだと本格的に先輩が泣いてしまう。こんな朝に女性の泣き声を聞くと言うのもいささか可哀想にも感じてしまう。仕方ないここは僕が、折れるしかないか……。


「はぁ……分かりました。週一なら一緒に登校してもいいですよ?」


「え、いいの?ほ、本当に?嘘じゃないよね?」


「嘘じゃないですよ……」


「……っ‼︎やったぁぁぁーーー」


 急に、大声で喜び、耳元でデカい声を出す先輩に僕は、苛立ちが隠せず言う。


「この、アホ先輩が‼︎こんな朝から、大声出さないでください‼︎」


「ぐすんっ……だ、だって本当に嬉しくて……」


「嬉しいのは分かりましたから…。じゃあ、いつ一緒に登校しますか?僕は、いつでもいいですけど……」


「じゃ、じゃあ、金曜日がいい!!」


「分かりました。じゃあ、金曜日にしましょうか。では、そうゆう事ですので、電話切ってもいいですか?」


「本当にありがとねっ……優くんッ‼︎また、学校で会おうね!!」


 そう言うと先輩は電話を切った。朝から、こんなにも疲れることになるとは。

学校に行けばさらに先輩に絡まれる事間違いない。そんな事を思いながら僕は、

登校する準備をする。





 朝から、先輩との電話で体力を奪われた僕だが、学校に行かなくてはならない。僕は、高校に入るのを機に一人暮らしを始めた。親元を早く離れ自立したい気持ちもあったため何とか過保護の親の反対を押し切り一人暮らしの許可を得た



 夏の暑さを感じながら学校へ向かう。

だんだんと学校に近づくにつれ制服を着た生徒が増えてくる。その中に一際目立つ生徒がいる。


(音崎先輩だ……!!)


「音崎先輩‼︎おはようございます‼︎」


「えぇ、おはよう」


 音崎先輩が歩くたびに他の生徒が先輩に挨拶をする。朝の、電話の時とは違い

凛々しい声で生徒に挨拶する先輩に驚きが隠せない。


(ほんとに、僕はあの人と昨日から付き合い始めたんだよなぁ……)


 朝の電話でのやりとりがありつつもいまだに実感が湧かない僕は、淡々と歩みを進める。


 すると、先輩がこちらに気づいたのか

口パクでお・は・よ・うと言ってくる。


「……っ!!」


(他の生徒に気づかれたらどうするんですか!!)


 ニマニマとこちらの様子を伺う先輩に僕は、恥ずかしくなり顔を背ける。


「はぁ……ホントに、あの人は約束を守る気があるのか?このまま一ヶ月恋人関係を隠し通せるのか?」


 そんな不安を抱きつつも学校の校門をくぐる。




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年上ヒロインと僕のラブコメ ゆーとん @12takeisou340

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