年上ヒロインと僕のラブコメ

ゆーとん

第1話 出会い

 

 僕、神凪優は放課後の屋上である日一人の先輩と出会う。

 


 

 放課後の屋上で僕は、グラウンドで走る運動部を眺めていた。全国優勝を目指して練習している奴もいれば和気藹々と練習し青春を謳歌してる奴もいる。


「まあ、ぼっちの僕には無縁の事だよな〜」


 僕は、屋上で一人呟く。ぼっちは所詮あんなにキラキラとした青春という名のステージには入れないのだ。これは決して羨ましいというわけではない。


「君、なにしてんの?」


 その言葉を聞いて僕は、声が聞こえた方向に体を向ける。そこにはボッチの僕でも知ってる女子生徒がいた。容姿端麗な姿と光り輝く金色の髪をなびかせた学園一可愛いとの噂もある音崎鈴音がそこにいた。


「景色を眺めてるんですよ」


「私も、屋上から見える景色が好きなんだ」


「そうなんですか…」


「君は、なんか寂しそうな表情をしてるね」


「そういう先輩は、嬉しそうな表情をしてますね」


「あれ?私が先輩って何で分かったの?」


「学園一可愛いと噂もある人ですから、嫌でも分かりますよ」


 それに分かると言えばその髪の色にある。この学園は髪の色は自由なのだが金色に染めている生徒は何故か音崎鈴音しかいないのだ。まあ、僕から見れば不良娘みたいで少し怖いと思ってしまう。


「そっか…なら、私の名前も分かる?」


「はぁ……音崎鈴音さんでしたよね?」


「正解〜学園一の可愛さを誇る音崎鈴音でーす。それに、君の名前は神凪優くんでしょ?」


「何で知ってるんですか?」


「それは‥‥秘密かな」


「はぁ…そうですか…」


 正直驚いている。こんな陰キャを知ってくれているとは‥‥教室でも存在感の薄い僕が学園一可愛い音崎先輩に認知されている。


「また、時が経てば教えてあげるよ♪」


「そうですか…」


「それはそうと、屋上で寂しそうな目をしていた神凪くんに提案があります」


 僕は、そんなにも寂しそうな顔をしているだろうか?これでも、顔に出ないと家族にはよく言われる。もしかしたら、先輩は人間観察が得意なのではないかと思う。


「提案ですか??」


「私の恋人として学園生活を一緒に過ごしてみない?」


「恋人ですか?」


「そうそう、ほら……私って学園一可愛いって言われてるでしょ?だからさ、よく告白されるんだ。正直異性からの告白にはもう飽き飽きなんだ。皆私の、顔とか体しか興味がなさそうに告白してくるの」


「そうなんですか…」


 陰キャの僕からしたらなんて贅沢な悩みなんだろうと思う。生まれてから一度も告白されたことないし、好きな人だって出来た事もない。そんな僕に、恋人になってほしいなんて…。動揺を隠せない僕は、先輩に聞いてみる。


「ど、どうして僕なんですか!?」


「だって、君なら私の事をそんな目で見ないでしょ?他の男子とは違って容姿だけじゃなく内面を見てくれそうだから君に、恋人になってほしいんだ」


「買いかぶり過ぎじゃないですか?僕たちは今日会ったばっかりですよ……?」


「君は、そうでしょうね。でも、私は前から君の事を知ってるんだよ?」


「すみません、声が小さくて聞こえなかったのでもう一度言ってくれませんか?」


「ダメでーす!!」

 

 そう言って何故か笑みを浮かべた表情で先輩は言った。一体なにがそんなに楽しいのか?

 僕には、分からなかった。


「付き合うかどうかなのですが……すみません僕は、先輩と付き合うことはできません」


 もちろんお断りするに決まってる。だって学園一の美少女と陰キャぼっちの僕なんかが付き合ったら学年はもちろん学園全体に瞬く間に広まる事だろう。静かで平和な学園生活を送りたいと思う僕からしたら至極真っ当な返事だと思う。


 沈黙の時間が続く……すると突然…。


「なんでぇーー!!」


 突然耳をつんざくような声がした……あまりにも突然の大声に僕は、耳を塞ぐのを忘れ呆然とした。


「突然叫んで驚くじゃないですか!!他の生徒に聞かれたらどうするつもりですか!?」


「だって、今私振られたんだよ?学園一可愛いこの私が!?おかしくない?私に、告白されたら男子生徒は泣いて喜ぶよ?」


「ぼくは、静かに学園生活を送りたいんですよ。先輩と付き合ったら他の男子生徒になにされるか分かったもんじゃありませんよ!」


 もしかしたら、校舎裏に連れてかれて殴られたり暴言を吐かれたりいじめに遭うかもしれない。そんな危険を犯すような事絶対に、したくない。


「だったら、お試しで付き合ってみない?」


 急に、落ち着いたかと思えば何を言い出すのかと僕は思う。僕の中での先輩のイメージがどんどん悪い方向にいってる気がする…。


「お試しですか?」


「そうそう、試しに一ヶ月付き合うって事なんだけどそれでもダメ?」


 正直それでも嫌です…と言いたい自分がいる……。だが、ここでまた断ると先輩が何を叫び出してくるか分からないそうなると流石にグラウンドにいる運動部に聞こえる可能性が高くなる。他の生徒に一緒にいるとこを目撃されるのは勘弁してほしい。だから、僕は先輩に一つ提案してみる。


「他の生徒に僕と、付き合ってると言いふらさないと誓っていただけるならお試しに付き合ってみてもいいですよ?」


 沈黙の時間が続く……(2回目)


「やったぁぁぁーー!!!」


 また、先輩は叫んでしまった。大勢の運動部がグラウンドで練習しているのに……僕はもう、この先輩の事は学園一可愛い先輩ではなく学園一騒がしい先輩と命名しようと誓った……。


「ね、ねぇ?私達付き合ったんだからさ連絡先交換しない?」


 急に、甘えた声で話し出した先輩に驚きが隠せない。あんなに突然叫びだしたりしてはしゃいでた先輩が急に甘えた声で話出したらさすがの僕でも驚く。だが、すぐに冷静さを取り戻した僕は、先輩に言う……。


「連絡先ですか?いいですよ。」


 家族以外で連絡先を登録するのはこれが初めてだ。それも、まさか異性の連絡先をもらうなんて妹を除いたら先輩が初めてだ。もしかしたらこれからの人生において異性から連絡先をもらうのは最初で最後かもしれない。


「ありがとっ」


 その、笑顔で何人の男を落としてきたのだろうか?多分数えきれないだろう。女性の笑顔は魅力的とよく言うが先輩はその中でも別格だ。僕も、少しドキッとしてしまった。まぁ、気のせいという事にしておく。


「いいですか?連絡先は交換しましたが、連絡すべき時だけ僕の方から連絡します……いいですね?余計な連絡はしないでください」


「わかったぁぁ〜〜」


 絶対分かってない。だって分かったと言いながらニヤニヤしているから。これは今からでも気をつけとかないと大変なことになりかねないな。僕は、今のうちに警戒心を高めとく。


「じゃあ、これからよろしくね♪優くん♪」


「い、いきなり下の名前で呼ばないでください!!女性から下の名前で呼ばれるなんて家族以外言われた事ないんですから」


 いきなり下の名前で呼ばれた僕は、顔を赤らめなが言う。


「ふふふ、優くんかわいいー♪」


「揶揄わないでください!!」


「ふふ、優くんに突撃〜〜」


「こっちに突撃して来ないでくださーい!」




これは、一人のぼっち男子と容姿は良いが性格が残念な年上ヒロインとの物語である。

 



初めての作品になりますので温かい目で読んでいただけたら幸いです。




☆とフォローをぜひよろしくお願いします!


 



 

 


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