第4話、笑顔の魔法

「え?、うんお母さんをお願い」


彼女は涙を抑えながら掠れた声でそう呟いた。


「ごめんね、ありがとう」


私は彼女の母に近づき手をかざした。


「ファリウシーア、身罷りしものよ安らかに」


そう唱えると彼女の母の体は消え十匹のガラスのような綺麗な蝶に変わった、そしてその蝶は彼女の周りに集まり一人の人間に変わった。


「おかぁさん?」


彼女は涙を抑えそう言ったが次の瞬間には涙が溢れていた。


「おかぁさん!おかぁさん!」


「ごめんね、ミナあなたをおいて死んでしまう私を許して、ごめんねでも愛してる大好きよ」


「私も!おかぁさんのこと大好き!」


彼女の母はこっちを向いた。


「ありがとうございます、最後にこのこと喋れる時間をくれて」


「いえ、当たり前のことをしただけです」


「ありがとう」


そう言った彼女の母は彼女とその後少しおしゃべりをしていたしかし、時間が来てしまった。


「おしゃべり中ごめんなさい、そろそろ魔法が」


「ええ、わかりました、ありがとうこんなに幸せな時間をくれて、ミナ、皆んなの言うことをよく聞くのよ?ご飯はよく食べて、好き嫌いしちゃダメよ?」


「うん、ありがとうおかぁさん」


彼女の母はまた蝶にかわり彼女の周りを少しとび、満足したかのように消えてしまった、それを見ていた彼女はさっきとは裏腹に笑顔で自分の母を見送っていた。


「ねぇ、、お兄さん、魔法ってすんごく綺麗だね!」


彼女は笑顔でそう言って私の方に顔を向けた、けど彼女の目の奥にはまだ涙が残っていた。


「うん、魔法って綺麗でしょ?」


彼女に魔法の綺麗さ、美しさ、そして儚さ、それでも彼女は魔法を綺麗そう言ってくれた、私はそれに嬉しさを覚えた、けどそれともう一つ悲しさも覚えた。


そしてあれから数日が経ったある日、私はまだ同じ街にいた、彼女の様子を見に行こうと宿を出る。


「すみません、少しいいですか?」


そう後ろから声が聞こえた、その声の方に目を向けるとそこには彼女の母をみていた

医者の人がいた。


「あの日あなたがやったのは魔法なのですか?」


「はい、死人を浄化し少しだけ魂を下ろすことができる魔法です」


そう言った後私はきっと軽蔑されると思っていた、しかし彼らからの反応は違った。


「す、すごいですね、魔法であんなことができるなんて、他にはどんなことができるんですか?」


私は自分が思っていた反応とは違い少し驚いたが、私は魔法に関心を持ってくれたことが嬉しく他の魔法のことを話し始めた。


「なるほど、すいませんいきなりいろんなことを聞いてしまって、我々は昔から魔法は人を殺す道具、だと思っていたので」


やはり、みんなそんな認識なのか、でもそれでも。


「いえ、確かに私も昔はそうでしたから、よかったら少し教えまししょうか?皆さんにもできると思います」


「本当ですか?!ぜひお願いします」


けど、こうやってだんだんみんなに魔法の良さを、みんなに広めていけたらいいな。

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魔法がタブーな世界で魔法の良さを教えようと思います 燐りん @Rinnnanoda2820

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