第3話、綺麗な魔法

「ッ…ここは?」


「森の中だよ、ここなら大きな音をたてても大丈夫だからな、一つだけ質問させてくれ、なぜこんなことを、するなぜこんな惨い事をする」


「ふっ決まってるだろ金だよ、金、金があれば何でもできる、女だって何だって手に入るんだからよぉ」


「それがお前の本心か、本当に心からの言葉か?」


そう言って、私は指を鳴らす。


「あん?そんなの当たり前だ…」


その瞬間彼は言葉を止めた、数秒後涙を流して膝から崩れ落ちた。


「アァァ…アァア!」


そう叫びながら頭を打ちつける。


「わ、わたしはなん、てことを……あ、あれ?なんでこんなことを?」


そう小さな声でうずくまりながら、もがいている。


私がかけた魔法は昔の記憶を思い出させる魔法、そんな大層なものでは無い私がかけたのはただの幻術魔法、もがいているのは元の自分の記憶と、偽りの記憶が反発しているだけ。


「か、かねは?お、お、おれのおかねぇ」


こいつをもし殺せば彼女の母の呪いは無くなるかもしれない、だがもし治らなかったら?彼女にかなりのダメージを与えてしまう。


「おかねをぉ、よこせぇ!」


だがこいつは混乱していてもこんなにお金に執着している、気持ち悪い吐き気がする、やはりこんなやつは今殺しておかないと周りにまた被害が及ぼすかもしれない。


私は覚悟を決め目を瞑る、そして自分の手に力を入れ指を大きく鳴らした。


「やっぱり、人を手に掛けるのは心が痛いなぁ」


目元に涙を浮かべながら、胸の痛みを紛らわせようと私は歩き出した。



私が村に戻ると少し騒がしかった。

村の人の会話に耳を傾ける。


「おい、聞いたかあそこの家の奥さん、死んじまったらしいぞ、確かに最近外には顔出さなかったからな、病気にでもかかってたのかな?」


その会話を聞いた瞬間走り出した、彼女の家に。


「やっぱりダメだったか、呪いが浸透しすぎていたんだ、やはり今生きてるのも奇跡だったんだ」


彼女の家に着く、家のドアを開けて彼女の母の部屋の前に着くと彼女の鳴き声が聞こえる、ドアを開けるとそこのは二人の医者と母のベットの前で泣き崩れている彼女がいた。


「あなたは?」


「通りすがりの魔法使いです」


そう言うと二人の医者は恐怖して部屋の端っこに行ってしまった。


「あれ、お兄さんどこ行ってたの、お父さんは?」


「お父さんは少し旅に出てったよ、けどごめんね約束守れなくて」


「ううん、いいの分かってたもうお母さんは限界だったんだって、でもやっぱりかなしいな、おかぁさん」


あぁ、彼女を泣かせてしまった、けど最後にやらないといけないことがある。


「ごめんね、でも君の母を少しでも安らかに眠らせてあげることはできる、やらせてもらってもいいかい?」


「え?、うんお母さんをお願い」

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