第44話
3-18
●トライピット-1e_1
◆----------
『なぁ。エツコ。俺の部屋でエツコの中身見せてくれない。』
『はい。ご主人様。ご主人様でしたら、どうぞエツコの中身を確認ください。』
私は食事が終わったタイミングで、ユースケさんがエツコを自分の部屋に誘っているのを聞いてしまった。
クラーサには聞こえてなかったみたいだけど、私が変な顔してたのかどうしたのか聞いてきた。
『アニエル少佐、どうしたの?』
『いえ。何でもないわ。』
私はクラーサに何でもないような返事をしたけど、心の中はそれどころではなかった。
ユースケさんがエツコと二人でユースケさんの部屋に行った?何だろう、これは後を付けて確認しなくては・・。
私はクラーサに用事を思い出したと伝え、自室に行くと見せかけてユースケさんの部屋に向かった。
他の皆はリビングで食後のお茶をしてるだろうから、直ぐには部屋の方には来ないだろう。
私は廊下に誰も居ない事を確認して、音を立てない様に慎重にユースケさんの部屋に近づきドアに耳を当てた。
『ご主人様。くすぐったいです。』
『少しだけ我慢してくれ。』
くすぐったいって、何をしてるのかしら。
『服は脱いだ方が良いですか?』
『いや。ほらこれ。先が曲がってるだろ。だから大丈夫だ。』
ふっ、服を・・ぬ・・。曲がってる?
『痛い!痛いです。』
『ごめんごめん。今度はちゃんと入れるから。』
『あっ。はっ、入った。』
まって、痛い。入れる。
ダメダメ。顔が熱くなってきた。
『じゃぁ。始めるよ。』
始めちゃうの。何を。ダメ。頭がクラクラして来た。
『ご主人様。・・気持ちが・・・。』
『目を閉じてれば、少し楽になるんじゃないか。』
『かっ、変わらないで、ででですぅ。』
『ほら。何も考えずに力を抜いて。』
『あっ。あっ。あああ。あーーー!』
ダメ。もう我慢が出来ない。
私は思わずドアを開けて叫んでしまった。
『エッチにゃころをしにゃ、イケにゃいとほもいましゅ! ハレ・・ン・。ハレ・・。・・ありぇ?』
◆----------
『うお!なんだよ。ビックリした。』
アニエルが突然部屋に入って来たと思ったら、訳の分からない事言ってるし。
『アニエル。部屋に入る時はノックくらいしろよ。』
『みゃって、いにゃらしいきょえがききょえて・・・。』
『よくわからん。俺はエツコの中のソースコードの一部を検索して抜き出そうとしていただけだ。』
『あああ、ああ、あ、ああああああ。』
『そうなんでしゅか・・・。しょれでエツコはこの状態で大丈夫なんでしゅか?』
『いいいいいいいい。だだだ。えええええ。ああ。』
よく見るとエツコの体がプルプル震えていてヤバそうな気がする。
『おっかしいな。大丈夫だと思ったんだが・・。』
『・・・。大丈夫じゃない様に見えるんですが・・。』
『一旦。止めるか・・。』
俺は検索コマンドの停止し、様子を見おることにした。
『ぎょしゅじん・しゃま。てゅえしゅんぎゃぎゃぎゃ。ちゅがが。違うようででです。』
『え。違うの。』
『手順書うぉうぉか・くにんん、ししし、ましたた。』
『そうなんだ。ってシステムバスがデーターオーバーフロー起こしてる時に手順書を確認したのかよ・・。』
『ははい。て手順書にはスリープモードに移行させた後、データの確認する様にと記載がありました。』
『まじか・・。』
俺は手順書と言うかマニュアルを再度確認したら、内部データを確認する時のハード的接続方法とは別にデータ確認時の手順が記載してあった。
『エツコ。すまん。手順の確認が甘かった。今度はちゃんとやるので許してくれ。』
『分かりました。お願いします。』
その後は手順書の通りエツコをスリープモードの移行して、ファイルの検索をを行いヒットしたファイルをパソコン側にコピーすることが出来た。
ただ、ソースを確認していて気が付いたんだが、カメラデバイス等のハードウェアがパソコンと違うため、この部分は作りこまないとダメだという事を・・。
まぁ、顔認証と表情データベースは利用出来るので時短にはなったと思うが考えが甘かった。
俺が頭を抱えて唸っていた次の日の夕食の後に次の調査に行くことを皆に告げた。
日程に関してはまだやる事もあるので、出発はまだ決定ではないが1っか月位先になる。
『トァカミさん。相談なんですが、今度調査に行くトライピット-1eは過去に調査が行われた事がある惑星なんですが、調査隊が帰って来ていないようなんですよ。なので申し訳ないんですが、量子スキャンのレーダーを強化することは出来ないでしょうか。』
『うむ。どうだろうな。あれはどちらかと言えばパッシブレーダーだからな。対象の量子活動が活発であればその存在をより強く認識することは出来るが、相手側が自然に活動を活発化することはない。こちら側から対象の量子活動を活発にする方法もあるにはあるんだが、それをやると対象の性質が変質してしまう可能性があるんだよ。例えば生き物に対してそれをやった場合、脳の活動に干渉して確実に錯乱するし、物質に対してやった場合には、照射している時に脆くなったり、逆に強化されたり、形状が変わったり、その物によってさまざまな現象が出るんだ。周りの対象がどうでもいい場合だったらまだ良いんだが、友軍や一般人がいる中で使ったら大惨事だぞ。航宙船なんかがいたら最悪バラバラに崩壊する可能性だってある。』
『そうなんですか。それは危ないですね。でもそうすると量子スキャンのレーダーの強化はどうした良いんだろう。』
『うむぅ。現状ではスキャンの密度を上げる位しか出来ないと思うが、ただ、そうなると今の量子転送装置から独立させた上で、今より処理能力の高いコンピューターで解析させるしかないと思う。まぁ、これを強化と言うにはおこがましいが・・。』
『なるほど。そうかぁ。そうしたら、他に強化出来る事何かないかなぁ。う~ん・・・。あ。すいません。トァカミさん、また何か思いついたら相談させてください。』
俺はウラスの強化に何か良い手段がないか考えながら食堂を後にし自室に戻った。
ベットに寝ころび、色々考えを巡らせたが良い案が出てこない。
前の調査隊が帰って来ていないのだ、何らかの事故にあったと考える方が良いだろう。
そうなると想定していない危険があるに違いない。
そんな危険があるかもしれない場所へ、何の対策もせずに皆を特に子供達を連れて行きたくはない。
「もう、俺が一人で確認してきた方がいいかな・・。最悪トァカミさんに頼んで脱出用に物質転送システム装置を設置してもうおうかなな。ただなぁ。それはトァカミさんが嫌がりそうと言うか、承諾してくれなそうなんだよな・・。」
そんな事をうだうだ考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
俺は『はい。』と声を掛けつつベットから起き上がりドアを開けに向かった。
ドアを開けると、そこには佐井田さんが待っていた。
「どうしたの。佐井田さん。」
「なんかさ。食堂を出る時に雄介が悩んでるみたいだったから、どうしたのかなと思って・・。」
「なるほど。気を使ってくれてありがとう。中に入る?」
「うん。」
俺は椅子とサイドテーブルを動かしてベットの前に持ってきた。
佐井田さんには椅子に座ってもらい、サイドテーブルを挟んで俺はベットの端に座った。
本当はお茶とか出せれば良いんだが、あいにく俺の部屋に飲み物を出せるような設備はない。
部屋に誰か来た時に不便だから、今度飲み物位出せるようにしとくか。
「それで、悩んでるみたいだったけどどうしたの?」
「あぁ。それな。今回探索するトライピット-1eって惑星なんだけど、以前にも調査隊を送ってるらしいんだ。」
「そうなんだ。」
「それでさ。もう5年もたつのにその調査隊が音信不通で帰って来ていないんだよ。」
「すごく危険なところなのかしら。」
「多分、危険なんだと思うけど、情報が無いんでどんな危険なのか分からないから、対策の立てようがないんだよ。」
「じゃぁさ。そこの調査は飛ばして、別の場所を先に確認しに行くのはどうなの?」
「ん-。まあ。それも有りなんだけど、ここ以降の調査対象の惑星はかなり離れてて1年近くは帰ってこれない場所だからさ、どうしようかと思って・・。」
「でもさ、どんな危険があるか分からないところに行くより良いんじゃない。」
確かに、このトライピット-1eを飛ばして他の惑星を先に調査するのも良いかもしれない。
ただ、このトライピット-1eが地球で、先の調査船が撃墜されたか捕縛されたかしていたら、帰ってこない理由としては筋が通る。
地球の大国と言われていた国々だったら実際やりかねないからな。
あっ。そうなると俺達が地球に帰る時にも同じように撃墜される可能性があるのか・・。
「どうしたの。考えこんじゃって。」
「いやさぁ。地球が見つかって俺達が帰るとするじゃん。その時に地球上の国から攻撃される可能性もあるってことをいま思い付いたんだよ。」
「えー。なんで攻撃されるの。私達日本人だよ。」
「いや。ウラスは日本の宇宙船じゃないし、俺外国語出来ないし、そもそもウラスの通信機だと地球の通信機に通信出来るとも思えないし。そしたらウラスはUFOじゃん。未確認飛行物体。」
「じゃぁ。私達地球を見つけても帰れないの?」
「いや。外国の空域を通過しないで日本の領域に入れば何とかなるかも。なんせ日本は専守防衛で攻撃しなければ反撃してこないと思う。ただ、在日の外国軍は攻撃してくる可能性はあるから絶対とは言えないけど、多分、日本の領域に入ったら自衛隊が最初に出て来て、攻撃はしないけど威嚇とか警告するんだろうな。その後は強硬にどっかの空港に着陸するとして、そしたら在日の外国軍が機体(ウラス)を引き渡せって言ってくるのが通例なんじゃないかな。」
「なにそれ。ウラスはクランドル帝国の軍の機体を借りてるだけだから渡せるわけないよね。」
「まぁ。日本は属国みたいなもんだからな。以前に北方の大国の軍人が日本に戦闘機で亡命した時にも乗って来た戦闘機を強引に持って行ったから、やりかねないよね。」
「そうなんだ。それじゃぁ。ますます帰れないじゃない。」
そうだよ。俺達が地球に帰る時にも攻撃を受ける可能性は大きいってことだよな。
だとしたら、攻撃が出来ない様にするか、後は攻撃を受けても大丈夫なようにしないと地球に帰れもしないってことだよな。
今回の調査対象の惑星に行くのに防御を固めて置けば、地球に帰る時にも有効になるか。
ただなぁ、トライピット-1eの脅威と言うか危険ってなんだか分からないから、防御を固める事が適格な対応なのか分からないんだよなぁ。
まぁ、防御だけでも固めていければ、それだけ安全になるだろうからな。
明日にでもトァカミさんに相談してみるか。
「地球に帰る時の事もあるから、とりあえず防御を固めておこうと思うんで、明日トァカミさんに相談してみるよ。良い対応策が無ければザウバー提督にも相談してみる。」
「そうね。それが良いわ。」
「ただ、今回はどんない脅威か分からないから、やっぱり、俺だけで行ってくるよ。」
「それはダメ!きゃっ!」
「ぐぉ!!」
ドンガラドドン。
佐井田さんは椅子を倒しながら立ち上がって叫んだ拍子にサイドテーブルにぶつかって倒れて来たテーブルの上面が俺に直撃した後に倒れた。
「あ、ごめっ!イッターーイ!」
「ぐふぅーー!」
テーブルをぶつけた事を謝ろうと手を伸ばした掛けたところに、倒れたテーブルの脚が佐井田さんの向う脛に当たったようで、そのままベットの上に倒れた俺にボディプレスを決めて来た。
佐井田さんは少しの間俺の上で丸くなって脛をなでていたが、おもむろに俺の顔を涙目で見つめ「ねぇ。雄介はさぁ小学校低学年位のころの思い出ってある。」と尋ねて来た。
小学校低学年?俺ってそのころから親父に合気道の稽古させられてたから、その位しか覚えていない。それこそ泣きながら稽古してたしな・・。
「んー。合気道の稽古の事くら」
俺が答えを返そうとした時に、乱暴に度を叩いて、アニエル部屋に入って来た。
『なんか、すごい音がとしたけど、大丈・・夫・・・・・・。』
アニエルは俺と佐井田さんを震える指でさしながら、顔を真っ赤にしている。
いや、事故だから。事故だからね。
するとアニエルの両脇を通ってミナちゃんとあみちゃんが駆け込んできた。
『あー!ずるーい。先生と雄介が遊んでるー!』
『ほんとだー!私もやるー!』
ミナちゃんとあみちゃんはベットに駆け上ると俺の腹に向かってダイブ。
「ぐほーーーー!」
あみちゃん・・・。そこは俺の息子がいる場所だから・・・・・。
宇宙の果てで放浪生活記 ・・てか、ここは何処だよ? 鷹端シュン @takahashi_7220
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