第7話

「やばい、当たったかも」


俺たちが忘れていたこと..それは、衛生上だ。

パンを食べてから数日、俺の腹が悲鳴を上げている。

さすがにダンジョンにも菌は発生するようだ。

とりあえずこれは消毒すればいいから、水拭きでいいかな。

どうやら、前見つけた湖の水は殺菌効果があるらしい。

そのおかげで、リーシュたちは菌に侵されていないそう。

なので、その水を消毒スプレー代わりとする。


もうこれで悩みの種はなくなっただろう。

再び、改装作業へと移った。


そのころ、地上では着々と復興作業が進んでいた。

崩れた建物はすぐに片づけられ、仮住宅がたくさん建てられた。

あの騒ぎも収まったようで、次第に人々は地震からダンジョンへと興味を移していった。

そして、政府もダンジョンの謎解明を進めたいのか、ダンジョンにだれでも入れるようにした。ただ自己責任で。

そのおかげで多くの人々がダンジョンに潜っていった。

まあ、そのほとんどが入り口で引き返したけど。

それもそのはず、まだモンスターがうじゃうじゃいる。だって、俺がいるダンジョン以外にもまだたくさんあるから。

そんな危険な場所を政府が一般公開するとは頭のねじが外れてるんじゃないかと思ったけど、よく考えたらそれ以外しか方法がないのか。

人手は足りないし、危険なところに行かせるとか退職者がどんどん増えるだろうし...

ま、「自己責任」って言ってるもんね!


と、地下に隠れている俺たちにとっては全然関係のないことだが...

「俺にとってここに来られるのは困る」

「私にとって地下に来られると困るわ」

まず、俺は家がなくなったからここに来たわけで。

もう地上にいけば仮住宅がもらえるから地上にいけばいいのだが、ある程度俺のことは「命知らずの青年」として名が知れているらしい。そんな俺がいきなりダンジョンから出てくるとなると、絶対につかまるに決まっている。

だったらここにこもっていたいのだが、勇気のある人々がダンジョンに潜られてしまうと、いずれここにもたどり着くだろう。

そうしたら、なんか荒らされるに決まってる。

荒らされなくても、なんかめんどくさいことになるのは確定だ。


一方、リーシュにとっても困る。

もともと、地下がリーシュたちの世界。

つまり、ダンジョンが地上と地下の違う二つの世界をつないだということになる。

つまり?


まだかろうじで脅威がモンスターだけだったのが、「人」も入ってくることになる。

そうなったら、きついに決まっている。

でも、ほかのダンジョンはどうしようもないから、ここだけは譲れない。

さあ、どうしようか。


俺たちができるのは、パン作りだけなのに...


--あとがき--

パン作りで世界を救うことは...

できませんね。次からはついに修たちがばれてしまいます。世間に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎日 21:00 予定は変更される可能性があります

家が潰されたのでダンジョンでパン作ってたら、知らぬ間に有名になってた件 @Doorstep

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ