第2話 知恵理の唯一の友だち
わたしは、その
「唯一の理解者」も気取っていた。
ほんとうは、わたしにもよく理解できなかったんだけど。
きっかけは、コンビニに行ったとき、メロンジャムが筋状に巻いているソフトアイスを買っている彼女に出会ったことだった。
わたしも同じアイスを買い、二人でイートインで並んで食べた。
そのとき、川之上知恵理が
「このアイス、ぴきんと筋が通った味がするよね」
と言ったのに、わたしが
「そうそう。そんな感じだよね」
と言ってしまった。
「えーっ? やっぱり
と知恵理は感激した。
ま、いいか、と思った。
知恵理は、おしゃべりモードになると、次から次へと話が展開する。
温泉の話をしていたと思うと、温泉の地図記号の湯気は直線か曲線かという話になり、そこからなぜ茶畑の地図記号が「点三つ」なのかという話に行く。
脈絡はあまりないけれど、ともかく知恵理が「博識」だということはよくわかった。
博識なだけではなく、頭もよかった。
とくに理系的な頭は優れているようで、数学の関数の問題をあっさり解いたり、太陽内部の核融合サイクルというのを何も見ずにさっとノートに手書きしたり、同じく生物のクエン酸回路というのを手書きしたりという、わたしにはできない離れ業をいろいろとやっていた。
そんな知恵理が言ったことのなかで、いちばん印象に残っている、しかも、いちばん不可解だったのが「太陽が沈むときの音」だった。
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