第6話



 ここは、死神の谷。別名、封印の谷である。


 ここにいる死神という種族は、人の命を食べ物として生活している。


 だからと言って、村を襲って人を殺すわけではない。

 人類の文明が発達した今、そんなことをすれば返り討ちに合うのはわかっているのだ。


 結論、死神は谷に引きこもった。


 そして、もう間も無く死んでしまう人や、死んだ方が楽になれる病気の人を食べている。


「というわけで、お二方。我々は無闇に人を殺してるわけではないのです。」


「あぁ、それはよくわかった。だから、我々を殺してくれ。」

「いいから殺してくれよ。」


「ですから、簡単には殺せないのです。」


「どうしてだ。こんなにも死にたいのに。」

「別に殺してもらっていいんだぞ。」


「…」(ダメだこいつら。)


 心優しい死神は、説得を諦めたのでした。


「では、やってますけど、失敗しても知りませんよ?」


『suck the soul』この魂を我が肉体に取り込め


「………」

「………」


「失敗したでしょう?」

「あぁ。生きてるな。」

「なんでだヨォ!」


「そもそも、なんで死にたいんですか。」


「冒険したくない。」

「領地の経営なんてやりたくない。」


「なら、この村で暮らしましょう。ここなら、そんなことをせず、自由ですよ。」


「「確かに。」」




 完。

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魔王は死にたいらしいですが、僕も死にたいので仲良く暮らします。 灯火(とうか)@チーム海さん @UMIsandayo

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