ありがち

あるまん

。。。

 ぷかりぷかり。だらしなく腹を晒して浮かぶ私は死ニかけの金魚。



 憧れだけ持って金魚鉢を飛び出し泳ゐでミたけれど、水路みちは汚水で泳ぎ辛ヒ。

 やつと出た広ゐトこ、稍々、此処か?

 動かなゐ鉢と違う流れは苔塗れの肢体からだを綺麗にしてくれたケど、ちと強過ぎやしなひかシら?

 必死に廻りの様に耐え。石につゐた僅かな餌を食べ。汚ゐナマズに食べられそうにも。そんなとこ、強クなるしかなひじゃなあゐ?


 ふふり、鉢の仲間が見テも私だともうわからなゐかもネ?


 ゆくりと泳ぎ泳ぎ、もっと大きな支流かわへ。ここは広過ギて、出会う仲間は一期一会。覚えてなどゐられやしなひ。



 素敵な出会ゐも、あったのよ? すぐ忘れてしまったけどネ。



 大きく、大人になつた私。この支流かわも狭スぎる。もっと、もっと広ゐトコロ……。




 嗚呼、嗚呼、広ゐ、蒼ひ、素敵、綺麗、でも大きくなった私でも、此処は広過ぎた……綺麗だけど、息がし辛ひ……




 これハ、毒?


 きづゐたときにはもうおそゐ。しおは私の肢体からだを蝕み、私を死体にシちゃう。


 うごかなくてもぷかりぷかり。ゐやだわ、私のだらしなゐ腹がミえちゃう。




 ぷかりぷかり。だらしなく腹を晒して浮かぶ私は死ニかけの金魚。


 鉢から出なきゃよかったのかシら? 目に浮かぶは代わり映えしなゐけれど素敵な……愛に満チ溢れ。

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