第2話 本当の自分

次の日の朝。

休日ということで学校もない。

パジャマのまま家の中をうろつく。

テーブルにお母さんからの置手紙。

両親はもう出かけたみたい。


誰も家にいないことをいいことに廊下にパジャマ、下着まで全部脱ぎ捨てる。

洗濯カゴなんかにキレイに入れない。

わざと乱雑に脱ぎ散らかす。

裸のまま自分の部屋に走っていく。


クローゼットを開ける。

そして奥に見えない様にしまっておいた、あるものを取り出す。


ゴクリ…


私は息を飲んだ。


それは着ぐるみ。

着ぐるみと言っても遊園地の可愛い系のものじゃない。

顔がリアルな灰色のオオカミの着ぐるみ。

全身を毛足の長いファーで覆われ、毛むくじゃらの獣のようなデザイン。


「はぁ…はぁ…はぁ…ふぅ!」


着ぐるみに顔をうずめる。

化繊特有のプラスチックのような匂いがする。

この前天日干できたから少しだけお日様の匂いがする。

でも洗濯しても取れない繊維の奥に染みついた私の匂いもする。


「すぅぅぅぅ…ふぅぅぅぅ…すぅぅぅぅ…ふぅぅぅぅ…」


思いっきり呼吸をする。

匂いを強く感じられる。

いい匂いの中に化繊特有の匂いと私の残り香がある。

それらが合わさった匂いがたまらなく好き。

この匂いを嗅ぐだけで私の恥部は潤っていく。

自然と右手は恥部に向かい、弄り始める。


「すぅぅぅぅ…ふぅぅぅぅ…んっ!ふぅ…んくっ!」


これだけでも達してしまいそう。

はやる気持ちを我慢して、着ぐるみの中に体を入れる。


中は外の素材と違って毛足の短いフリース素材。

そしてボアによってギュウギュウと私の体を圧迫する。

太ももまで着ぐるみの中に入れた。


「はぁ…はぁ…あっ!…んんっ…」


恥部と肛門に何かが触れる。

男性器を模した淫具が。


「はぁ…はぁ…はぁ…あぁぁ!」


私はわざとだらしなく舌を出し、それを自分の中に入れていく。


「んぁっ!くふぅ…」


すでにヌルヌルの膣にはすんなり入った。

お尻がなかなか入らない。

四つん這いになり口を大きく開けて肛門を広げる。

着ぐるみのうえから手で押してゆっくり、じっくり入れていく。


「はぁ…はぁ…うぐぅ…んんっ!」


やっと入った。

額から脂汗が噴き出る。

その汗は涎といっしょに着ぐるみに垂れ、吸収されていく。

それを見て私の顔は歪んでいく。


続いて腕、胸も着ぐるみに入れていく。

どんどん着ぐるみが私を圧迫していく。

顔がだんだん赤くなっていく。

顔の前に垂れているマスクを勢いよく被る。


「むぐっ!ごほっ!」


マスクの内側の猿轡が私の口を塞ぐ。

臭い。

汗と涎が染みついている。

化繊の匂いがする。

息苦しい。

口で息ができない。

鼻からしか息ができない。

ずっとこの匂いを嗅がなければならない。

でもこの匂いが、獣みたいな匂いが堪らない。


視界が狭い。

前しか見えない。

この視野の狭さのせいで余計に感覚が敏感になる。


背中のファスナーを閉める。

全身を着ぐるみに圧迫される。

全身を毛むくじゃらに覆われる。

暑い。

興奮しているせいでさらに暑い。

全身から汗が噴き出す。


(はぁ…はぁ…したい…すぐしたい!イきたい!イきたい!)


気持ちを抑えきれない。


机から南京錠とリモコン、小さな金属の箱を取り出す。

着ぐるみのファスナーが開かない様に鍵をかける。


カチリ!


この金属音、拘束が私をさらに興奮させる。

リモコンを押す。


「んぐぅぅ!」


恥部と肛門に入れられたものが動き出す。

絶頂しそうになるのをまだ我慢する。

南京錠の鍵とリモコンを箱の中に入れ、閉じる。

1、2、3…8時間に設定する。


ピッ…ピッ…ピッ…ピー!カシャ!


これで8時間この箱は開かない。

南京錠もリモコンも取れない。

着ぐるみは脱げない。

恥部と肛門を責められ続ける。

これで着ぐるみからも、淫具からの責め立てからも逃れられない。


「ふぅ!ふぅ!ふぅ!むぐぅぅ!」


鏡の前でM字開脚をする。

雄の狼がいる。

私の女の体はもうどこにもない。

屈強な雄の獣の体。

綺麗と噂されている顔もない。

そんな私、もう捨てた。


携帯が鳴った。

電話になんて絶対出ない。

誰から着信がきたなんて知らない。

みんなが知ってる私はもういないんだから。


自分の恥部と肛門を執拗に責める。

淫具からの刺激がもっと強くなる。

更に激しく、強く押しこむ。


「ぐぅぅ!うぅぅぅ!!」


ワザと獣のような唸り声を上げる。

気持ちいい。

何も考えなくていい。

周りの目も、期待も全部。

快楽に身をゆだねる。

喘ぎ声が抑えられない

涎が止まらない。

愛液が止まらない。

暑い、臭い、息苦しい。

私をさらに興奮させる。


「ふぅ!ふぅ!むぐ…うぅぅ!んぐぅぅぅぅ!!」


すぐに絶頂を迎えた。

ビクンビクンと体が痙攣する。

愛液がドバっと溢れる。

それが着ぐるみに吸収される。

全身を覆われて汗だくになっている。

それも着ぐるみに吸収される。

淫具の振動は止まらない。

私がこの姿でいる限り。


(はぁ!はぁ!はぁ…きもちい…きもちいぃ!)


これが本当の私。

汚くて、淫らで、歪な形で性欲を貪りつくす獣。

こんなことでしか自分を解放できない。

こんなことでしか自分を保てない。


いい子の自分はもう捨てた。

あと8時間もある。

あと8時間も楽しめる。

あと8時間この臭くて暑苦しい獣のまま。

さらに息が速くなる。

淫具を押し込む力が強くなる。

苦しかろうが絶頂しようがその手を止めない、止められない。


(はぁ!はぁ!はぁ!また…イく…イく!イクぅ…んんっ!)


「いぎぃぃぃぃぃぃいい!!!」


大きな波が来た。

その場に力なく横たわる。

体がビクビク情けなく痙攣し続ける。

淫具の振動は止まらない。

涎がマスク内にだらだら垂れ、吸収される。

恥部から絶え間なく愛液が出る。


(はぁ…はぁ…あっ…あぁ…きもち…いい…ははっ…あはははっ!)


私は着ぐるみの中で歪な笑顔を浮かべた。



家のインターホンが鳴った。


〈完〉

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生徒会長の表裏 本当は淫らで汚い獣 MenRyanpeta @MenRyanpeta

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