生徒会長の表裏 本当は淫らで汚い獣

MenRyanpeta

第1話 いい子を演じて

「…はぁ」


帰り道をとぼとぼ歩く。


今日も少し遅くなってしまった。

生徒会、それ以外の色んな仕事を押し付けられて嫌になる。

でも頼まれると笑顔で「はい」と応えてしまう。

そんな断れない自分がもっと嫌。


生徒会の立候補も、もとはと言えばみんなからの推薦。

その翌年に生徒会長になれたのも、ただ「顔が綺麗」とか「成績がいい」とか「先生たちから評判がいい」とか理由を挙げやすかったからだと思う。

周りからの私の評価はきっと「清楚」で「成績優秀」で「いい子」なんだろう。


勉強をちゃんとしてるのも、のちのち学があれば潰しがきくから。

それに親に迷惑をかけたくないから。

近くの国立大学に行ければお金だってかからないだろうし。

これといった将来の夢も特にない。


でも本当はみんなみたいに遊びたい。

帰りにファミレスで友達とダベりながらお喋りしたい。

カラオケで大声で歌ったり、ゲームセンターではしゃぎたい。

いっぱいいっぱい遊びたい。


それにおしゃれだってしたい。

スカートだってちょっと短くしてみたい。

学校指定されてないブラウスをバレずに着てみたい。

お化粧だってしてみたい。

可愛いネイルだってやってみたい。

みんなみたいに。


でもきっと周りがそれを許さない。

「いい子」じゃないといけない。

いや、許さないと勝手に決めつけているのは自分だけ。

周りの期待にただ応えようとしているだけ。

内心うんざりしている。

いい子、いい生徒を演じる自分に。

そんな不器用な自分に。


誰も本当の私をわかっていない。

本当の私は汚くて、淫らな女なのに。



家についた。

お母さんは夕飯を作っていた。


「ただいま」

「おかえり未央。ちょっと遅かったわね?また生徒会?」

「うん…先にお風呂入ってもいい?」

「いいわよ。入ってらっしゃい」


荷物を部屋に置いてお風呂に向かう。

湯船に頭まで浸かり大声で叫ぶ。

こうすれば音が響かない。


お風呂から上がり、お母さんと一緒に夕飯を食べる。

まだお父さんは帰っていない。

私と似て不器用で、きっといろんな仕事を抱え込んでいるのだろう。


「お父さんね、明日もお仕事なんだって。接待みたいだけど」

「ふ~ん…お休みなのに大変だね。社会人って」

「私も明日は朝から出かけるからね。ご飯は冷蔵庫に入れたからチンして」

「お母さんもお仕事?」

「違う違う。お友達とバスツアー。日帰りだけどね」


お母さんは私やお父さんと違い、要領がよくて力の抜き方が上手い。

毎日笑顔で生き生きしてる。


「未央もちゃんと息抜きしなさいよ?」

「うん…だいじょうぶだよ。ちゃんとするから」

「ならいいんだけど…悩み事があったら言ってね?」

「うん。ちゃんと話すから心配しないで」


嘘をついた。


明日は朝から両親がいない。

それを聞いて私の中に淫らな感情が蠢く。

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