第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句の部】二十句部門『垂涎』/弥栄弐庫

弥栄弐庫

垂涎

鯛焼の腸垂涎の虚構

白地図を割く境界や蕨餅

やわらかい水平線を掃く茅花

金雀枝や風を宥めている詩歌

囚われにきた雨雫抱く蜘蛛

引力は活字の中にある銀河

蟷螂や海鮮食す構えなり

雷のようなフランベ薬喰

春コート私に似てる垂れボタン

揚羽蝶曾祖母らしい休みかた

新米の旗や空手の子が走る

やわらかい芋になるまで聞く弱音

本日をもって閉店金木犀

砂箱の兵を寝かせるクリスマス

空腹はちょっと死っぽい日向ぼこ

血色のよいトーストや冬薔薇

檸檬忌やスポイトほどの頓服薬

かの僧の言霊フリージアってな

フェイジョアの花をバニラへ添える夏

朝を待つ呼吸向日葵獣めく

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第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句の部】二十句部門『垂涎』/弥栄弐庫 弥栄弐庫 @kind_mango697

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