最終回・反対側の人間として報酬をどう使うか

 あれから数週間が経過。


 生息あらいぶって人が報酬の大半を持っていき、あまりの彼と涼鳴の力に屈した鴉魂れいぶ又槍らいでんとは密かに連絡交換した後に報酬を受け取る。


 勿論鴉魂れいぶ涼鳴りょうがによって半分受け取った。

 涼鳴りょうがにしては珍しく物分りが良かった。


 今日も河川敷でグリーンモンスターの一部を備蓄に焚き火で食べる。


「あれから生息あらいぶって人と会うことはない、か。」


鴉魂れいぶさん又槍らいでんとと連絡取ったんでしょ?

 それでも付き合えないですよ。

 タイプというか住む世界が違う。」


 分かってる。

 でもなんだか生息あらいぶって人とは歳も近いし話してみたい。

 怖いけど。


「そういえば鴉魂れいぶさんにお礼を言ってませんでした。

 すんません。

 グリーンモンスターの触手の陽動と反撃をしてくれなかったら俺たちもあそこまで活躍出来ませんでした。」


 そこか。

 だがお礼を言う相手は違う。


「礼を言う相手は俺じゃない。

 涼鳴りょうが。縦社会よりも大事なうやまいを言葉にできるようになった方がいい。」


 いつもなら毒づく涼鳴りょうがも何を思ったのな素直にうなづいた。


「昔も鴉魂れいぶさんにこうやって叱られたっけ。

 いや、叱られたは違うか。

 暴力と知力の使い方がおかしかった俺に。」


 おかしいも何も無い。

 この世は不可思議ばかりだ。

 このサバイバル術やグリーンモンスターの討伐を見ているとなんで涼鳴りょうがが不可思議研究なんてやる大学に流石に考えているとは思うが本気なのか伝わってくる。


 あら?通話か。

 又槍らいでんとから。


『お前らグリーンモンスター培養しているの本気か?

 未来の食物ってバイオなことしてさ。

 美味しくてリスクないなら食わしてくれよ。』


 分かったと言って通訳を切る。

 暇つぶしになるよ。

 又槍らいでんとと喋ると。


 彼の言うとおり涼鳴りょうががグリーンモンスターの一部を報酬受け取りとどうじにこっそりかすめとって培養し、その一部が食料にもなっている。

 生息あらいぶが貰った報酬よりは少ないが金欠もなくなり、食糧にも心配がない。


「あのさ涼鳴りょうが

 俺も一日大切にするからさ、お前も進む道に迷ったらまた話に来いよ。」


「なんすか改まっちゃって。

 」


 ハイスペックも疲れただろうと思って昔みたいに励ますことにした。


「カップラーメン食うか?」



 完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

反対側の住人 釣ール @pixixy1O

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ