最終話:ほんっとスケベ。

「レイラ、生太のガンがなんで体から消えたか、その原因生太くんに言ったの?」


洗面所でフーリーチンがレイラに聞いた。


「言ってないよ・・・なんで?」


「なんで言わないの・・・生太くんも原因知りたがったでしょ?」


「うん、それはね・・・でもいいんじゃない病気が治ったんだから」


「なんで言わないの、彼に?」


「もし、もしね、ナマタが本当のこと知ったら、一生私に負い目を背負う

ことになるでしょ?」

「私に頭が上がらなくなっちゃうからね、そう言うのはイヤなの」


「ふ〜ん、レイラと生太って、レイラがそんなに気をつかわなきゃいけない

そのくらいの関係だったの?」


「それは・・・」


「そんなことで生太くん、レイラに負い目を背負っちゃうような彼なの?」


「だってナマタ、弱虫だし・・・ヘタレだし」


「あのさ、生太くんは余命半年ってお医者さんから宣告された時から、

死の恐怖にずっと耐えて来たんでしょ?」

「きっと彼なら大丈夫だよ・・・それに彼にはなんで病気が治ったか知る

権利あると思わない?」


「・・・・・」


「分かった・・・どう言う結果になるか分かんないけどナマタに言うよ」


季節は夏を過ぎていたけど、レイラは生太を海に誘った。

ふたりでレンタル自転車を借りて、サイクリングがてら海へ行った。


この近辺で砂浜が残ってるのは一箇所だけ。

マリンパークと言って市が管理してる海水浴場・・・ヨットハーバーや

キャンプ場も併設していた。


レイラと生太がマリンパークにやって来ると、すでの家族ずれや学生が

キャンプで楽しんでいた。

レイラと生太はキャンプ場を通り過ぎると砂浜のある場所に向かった。


「ナマタ、ここで止まって・・・話があるから」


「うん・・・気持ちいいね、自転車もいいね」


「そうだね・・・」


レイラと生太は、ヤシの気の根元に自転車をたてかけた。


「なに?話って」


「あのさ、この間、ナマタなんで体の中からガンがなくなったのか」

「その理由知りたがったでしょ?」


「うん・・・」


「あれね、あの原因ってね・・・」

「実は、私のキスなの・・・ナマタとめちゃハードでディープなキスしたでしょ」

「あのキスでナマタの体の中のガンがなくなったの」


「え?え?え?・・・え?」

「キス・・・キスで、ガンが消えたって?」


「そう言っても信じてもらえないか・・・」

「じゃ〜驚かないで聞いてね、その話聞いて私と別れるかどうか決めて」


「なに言ってるの?」


「黙って聞いて」


そこでレイラは、学校からの帰りのお稲荷さんの話や、自分が女になった

話、自分に狐が憑いてるって話を全部、生太にぶちまけた。


「・・・・え?・・・待って?・・なに?レイラ男だったの?」


「もとはね、男だった時の名前が鴨志田 礼って言うの、だけど男だった時の

記憶も思い出ももう忘れちゃった」

「今の私にはナマタといた時間と日々の思い出だけだよ」


「それは、つまり・・・」


「つまり、レイラは完全に女になったんだよ生太くん」


「あ〜びっくりした」

「脅かしてごめんね・・・私が今話に出た、仙狐のフーリーチン」

「レイラの言ったことはすべて事実、そしてあなたの体の中には私の100年

ぶんの命が入ってるの」


「分かってくれた、ナマタ・・・」


「分かった・・・けど、まだ信じられない」


「さて、どうするナマタ・・・今の話聞いて気持ちが変わった?」

「元、男だった彼女だよ?受け入れられる?」

「いいんだよ、私はナマタに別れるって言われても・・・」


「なに、言ってるのレイラ」


「僕が好きになったのは、オカルト部で出会った時のままのレイラだよ」

「あれからなにも変わってないよ、君も、僕の気持ちも」

「それになによりレイラはデイープキスと愛でもって僕の病気を治してくれたしね」


「そんな素敵な彼女と別れたりしたら僕は一生後悔するよ」

「君のいない人生なんて考えられない、だから一生僕のそばにいてよ、ね?」


「しかたないか・・・ナマタにフラれたら私みたいなオカルト女の彼氏になって

くれる男子いないだろうしね」


「じゃ〜いいんだね・・・一生僕の彼女で、恋人でいてくれる?」


「いいよ、いてあげる・・・」


「ほら、ふたりとも、うまくまとまったじゃない・・・」


「フーリーチンちゃん、ありがとうね・・・あなたのおかげね」


「あんたたちの愛の力だよ、これからもうまくやりなよ」

「ってことで、私そろそろ行くわ」

「レイラ・・・あんたは私の影響を受けて女になっちゃったけど私がレイラ

の体から抜けても、レイラはそのままだから、レイラの体にも100年ぶんの

命置いて行くからね、だから少なくともあと100年は女でいられるよ」


「じゃ〜ね、ふたりとも元気で!!レイラ世話になったね、さよなら」


そう言ってフーリーチンは消えていった。


「レイラ、僕たちもマンションへ帰ろう?」


「え?マンションに帰るの?」


「そうだよ・・・まだしてないことあるだろ?」


「してないことって?」


「またまた・・・しらばっくれて」

「病気は治ったからね、これでちゃんと責任とれるから・・・妊娠しても」


「妊娠って?なに言ってんの?」


「妊娠ってことはつまり、あれでしょ?」


「スケベだねナマタって」


「あはは、レイラ、僕が尻フェチだって知ってた?」


「うん、知ってた・・・ナマタ私のお尻見るたびにヨダレ垂らしてたもん」

「すっごいヤラシい目で私のお尻見てたでしょ?」


「そうか、じゃ〜なおさら逃がさないからね」

「最初はバックからがいいかな?」


「ナマタってそんなに積極的な男だったっけ?」


「病気が治ったから性格も変わったのかもね」

「可愛いお尻・・・食べちゃいたい」


「ほんっとにスケベ」


おしまい。

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半熟クラムジー 鴨志田 レイラ。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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