5. 二人の幸福、そして……

 真一さんの後ろをついていく私。

 期待と不安が胸に渦巻き、呼吸が少し荒い。


「ただいま」

「お帰り、真一」

「おぅ、真一。お帰り」


 真一さんのご両親の視線が私に注がれる。


「紹介するよ。花咲はなさき穂香ほのかさん」

「は、はじめまして! 花咲穂香と申します! 真一さんとは結婚を前提に(ぐ〜っ)」


 炸裂する私のお腹の音。


「はははっ、お嬢さんは随分と正直なひとのようだ」

「ふふふっ、真一の大切なひとは空腹のようね。さぁさ、上がってくださいな。何かお腹に入れるものを用意するわね」


 初対面でいきなりやらかす私。真一さんも笑っている。

 でも、これが本当の私。詐欺はやめた。自分に正直に生きていくんだ!

 お義父さん、お義母さん、ご馳走にあずかります!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

本当のわたし 下東 良雄 @Helianthus

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説