「選択肢」のおかげです
@minato10
第1話「選択肢」
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
うっ………なんだ?
身体を揺らされているような?
でも頭が凄くボーっとしていてとても眠たいんだ。
今はこのまま眠らせてくれ………
ゆさゆさゆさゆさゆさゆさ━━━━
………いやめっちゃ俺の身体揺らしてきますやん!
普通揺らして起きなかったら諦めますやん!
ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ━━━━
あ~わかった!わかりました!
起きます!起きますからそんなにずっと揺らし続けないでくれ!
揺らされ過ぎて気持ち悪くなってきそうだ………
「………ん、━━━━うん?」
凄く重たい瞼を必死に力を入れて少しずつ開けていってみれば━━━━
「「………起きた?」」
めちゃくちゃ美人な女の子2人が横になっている俺の身体の左右から俺の顔を覗いていた。
ぱっと見高校生にはまだなっていない中学生くらいだろうか?
2人とも顔が似ているからたぶん姉妹なのだろう。
だが髪の色と長さが違うから見分けるのは簡単そうだ。
俺から見て右側の子は真っ黒ストレートロングの長髪で
左側の子は長さは肩に掛かるぐらいなんだけで色も右側の子と同じく真っ黒なんだけど所々に赤色のメッシュが入っていてカッコイイ系に見える。
あ、右側の子は可愛い系ね。
でだ、2人に共通して特徴的な所があってそれは2人共オッドアイということ。
右側の子の右目が金色で左目が赤色。
左側の子はその逆で右目が赤色で左目が金色になっているのだ。
初めて、しかも突然見ればえ?っと驚いたりするかもしれないが何故か今の俺にはこの2人にはとても似合っていて逆にオッドアイなのが当たり前のように思えた。
「………?まだ起きてない?もっと揺らさないとかな?」
「いや、目は開いたから起きたと思う。………たぶんだけど私たちの目を見て固まってるんじゃないのかな?」
「………そっか、今の私たちは目の色を変えるだけの力も無くなっているんだものね。………こんな気色悪い目を見たら固まってしまうのも無理はない………か」
最後の言葉にはもう諦めたような悲観的な気持ちが伝わってくるような気がした。
このまま黙っていては………何か言わなければいけない気がする。
選択肢
1) こんにちは、でいいのかな?起こしてくれてありがとう。すぐに声を掛けられなくてごめん。2人とも凄く綺麗な良い瞳をしていたから見とれてしまっていたんだ。 (
2) っ!うわ!なにその眼!?めちゃくちゃ気持ち悪いんだけど!何で2人して俺の近くにいるんだ!気持ち悪いから早くどいてくれないか!! (
急に選択肢が出てきてびっくりしたかもしれないけど俺は突然日常生活の中で選択肢が見えるようになったんだ。
一番最初に出てきた時はビックリして思わず尻餅をついてしまったんだがちょうど自分の部屋に居た時だったから誰にも見られずに済んだ。
学校に居た時とかだったらやばかった。
だって1人で急にビックリして尻餅つくんだぞ?
いくら友達だったとしてもあいつなんかヤバくね?ってなってたと思う。
最悪引きこもりになっていたかもしれん!
マジで自分の部屋の時で良かった。
っと、話が逸れたな。
驚きはしたが同時に非日常的な感じがして興味も沸いたからいろいろ試してみた。
結果を言うとこの選択肢は俺にしか見えない。
友達数人にそれとなく聞いてみたんだが誰も見えはしなかった。
次に現れた選択肢を選んでみることにした。
その時の自分の状況によってもちろん選択肢の内容は変わるんだけど選んだ選択肢の行動を実際に行ってみると全て俺にとって良い方向に向かう事がわかった。
まぁ良い方向と言ってもささやかな感じなんだけどね。
落とし物をした時に何処に落としたか選択肢でわかるとか。
ああでもこれは良かったな。
なんとテストの時に答えが選択肢で出るのだ!
選択肢で出るから何となく答えをわかっていないとダメなんだけど何となくでも覚えていれば選択肢どっちかを選べばいいだけだからね。
最悪答えが二分の一になっているわけだからどっちかを選べばいいだけだし。
でも俺の元々の点数は中間ぐらいのほどほどだから急に満点近くになると不審に思われそうだから少し上がったぐらいで留めているんだけど。
あとは今選択肢が出たからわかると思うんだけど選べる選択肢の内容が凄い極端なのが多いのだ。
2の選択肢なんて俺的には絶対あり得ない選択肢だ。
あんな綺麗で可愛い2人に向かって酷い事を言うなんてそんな奴がいたら死んでほしいと思う、ってぐらいにどっちを選んだほうがいいかわかりやすいのだ。
あとこの選択肢の中に結構重要な情報も紛れてる事がある。
先ほどの選択肢で言えば()してある部分だ。
俺はこの2人の名前は知らないはずなのに選択肢で名前を知ることが出来た。
まぁ2人に警戒されても困るから名前は言わないけど。
ってことで1も多少言葉が臭いなと思うが2に比べれば全然いいので1の選択肢を選ぶ。
「こんにちは、でいいのかな?起こしてくれてありがとう。すぐに声を掛けられなくてごめん。2人とも凄く綺麗な良い瞳をしていたから見とれてしまっていたんだ」
2人の顔をゆっくり交互に見ながらなるべく優しくなるように喋り上半身を起こしていく。
2人は思ってもいなかった言葉を掛けられたせいかビックリした顔をして俺の顔を見つめながら固まってしまったみたいだった。
━━━━数秒なのか数分だったのか、固まっていた2人はその綺麗なオッドアイの瞳から突然、一筋の涙が伝っていた。
あれ?大丈夫だよね?選択肢ちゃんと1選んだよね!?
涙が出るなんて聞いてないよ!!
「あっと……なんかごめんね?気に障るような事を言ったなら謝らせてもらうよ。悲しませるつもりは全然なかったんだけど……」
軽く頭を下げて反応を待ってみる━━━━と。
「お兄さん、顔を上げてください」
なんだか思考が緩むような………とても甘い甘い声が聞こえた気がして頭を上げると2人の顔がすぐキス出来るようなそんな距離まで近づいていることに気づく。
「………ほんとに私たちの瞳が綺麗だってお兄さんは思う?」
「嘘じゃない?気持ち悪いとか不気味だって思わない?」
選択肢
1) そんな事思うわけないだろ?綺麗で可愛いし。なんならその瞳にキスしてあげたいぐらいだよ? (
2) 嘘でしたーー!!そんな気持ち悪い目に綺麗なんて言うわけないだろ!! (
………2の選択肢がヤバすぎる!!!
1の選択肢も凄い事言ってるけど2はそれどころじゃない!
選んでしまったら俺が死ぬ!
こんなの実質1の選択肢一択な件について。
「そんな事思うわけないだろ?綺麗で可愛いし。なんならその瞳にキスしてあげたいぐらい━━むぐっ!!!???」
何故か言い終わる前に左側の子からキスされました━━━━何故に?
「選択肢」のおかげです @minato10
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