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 夫、妻、息子の三人で、食卓を囲む。夫婦が隣り合って座り、妻の向かいに息子が座っている。息子の隣には、もう一人分の食事が用意されている。グラスに入ったぶどうジュースと、三人よりも一回り小さい食器に盛られたカレー。しかしそこには誰も座っていない。彼らは食べ続ける。陶器に金属が当たる音だけが、時々リビングに響く。

「ごちそうさま。」

と息子が言い、立ち上がる。台所まで行き、シンクに白い器を置き、水を注ぐ。水に、黄色くカレーの残りが浮く。息子は2階の自分の部屋へ向かう。玄関を上がってすぐの所にある階段を登っていく。板の軋む音が遠ざかっていく。

「唯、遅いね。」

と、妻が言う。夫は食べ続ける。スプーンと食器の音が際立つ。木の軋む音が上から近づいてくる。

「ただいまー。」

と声がして、玄関からリビングを直接繋ぐ扉が開く。そこに立っているのは、さっき自分の部屋へ行った息子である。しかしその背中には水色のランドセルがある。背中の大きさと、ランドセルのサイズが不釣り合いである。そして、輪っかにした紐を両耳に引っ掛ける形で、女の子の笑った顔を切り抜いた写真を、顔につけている。妻はそこへ走っていき、

「遅かったね、唯、学校で何かあったの、唯、心配かけないでね」

と言って、息子を抱きしめ、話さない。夫はカレーを食べ続ける。


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グレープジュースとカレーライス higoro @higoro_1121

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