ぶいなろっ!!~デビュー3分で前世バレする伝説を作ったVTuber。そんな推しライバーの俺に対する距離感がバグっている件。俺はいちリスナーであって配信者ではない!~
第111配信 GTR 1日目 パイパイプリン
第111配信 GTR 1日目 パイパイプリン
箸が止まらずチャーシューと米を掻き込んでいく。あーもうね、口の中が全部幸せ。ずっと食べ続けていたい。
そんな幸せな時間は長く続かない事は分かっている。あっという間に丼を食べ終えると腹が満たされる。後はデザートだ。
「お待ちしました。デザートのパイパイプリンIカップ、ガブリエール風ですわぁ!」
「だから大きい声で言わないで、ってデッカ!!」
ルイーナによってテーブルに置かれたのは大ボリュームの双子山の如きプリンだった。
色は普通のプリンよりもやや白い感じか? これはまるでガブリエールの白磁の肌を再現しているかのようだ。
山は全体的に丸みがあって、その頂は小ぶりなピンク色のハート型になっている。これは……!
「パイパイプリンの先端はニップレスを再現しているんですの。センシティブ対策ですわ」
「なるほど。でもなんか逆に卑猥な感じが……いやしかし、ありのままの外観の方が問題があるか……もう何が正しいのか分からんくなってきた」
このパイパイプリンの形はマジモンの女性の胸みたいで食べ進め方に迷う。
悩んでいるとルイーナが目を疑う行動を起こす。パイパイプリンと一緒に持ってきた木製スプーンを双子山の間に置いた。
これではまるで胸の谷間に棒状の物を挟み込んだみたいじゃないか。戸惑っているとルイーナは手に小瓶を持って呪文を唱え始める。
「おいしくなーれ、おいしくなーれ、萌え萌え、ドピュッ!」
詠唱が終わると同時に小瓶から大量の白い液体がパイパイプリンに掛けられた。
スプーンも白濁液まみれになってしまい、見た目はもう完全にパイで始まりズリで終わる行為後みたいになっている。
「ちょ、あんた何やってんですかーーーーーー!?」
「落ち着いてくださいませ。この白いのは特性の練乳ソースですわ。これを掛けることでパイパイプリンは完成するのです。心配なさらなくてもスプーンは交換致しますのでご安心を」
「そういう問題じゃないんですよ! さっきセンシティブ対策してるって言ってたけど、この練乳ぶっかけでその配慮は無意味になったじゃん! も……これ……事後にしか見えないよ。パイパイ的なもので一番やっちゃいけない演出!! 止めにスプーン! わざわざ肌色っぽい木製にしてるあたり完全に狙ってるでしょ!?」
「それはあなたの心が汚れているからそう見えるのですわ。純粋な心と目で見れば大きなプリンの谷間におっきなスプーンが挟まり白いソースが掛けられているだけに過ぎませんわ。ほら、もう一度ご覧になって」
怪しい説明通りに白濁ソースまみれになった巨大なダブルプリン(先端になんちゃってニップレス付き)を見てみる。ドロッとした白いソースがプリンの頂からゆっくり流れ落ちていく様子が見えた。濃厚すぎる。
「いやもうこれ、申し訳ないですけどやっぱり事後にしか見えません! 心が汚れていてごめんなさい!!」
プリンと分かっていても俺にはもうパイパイにしか見えない。
濃厚練乳白濁ソースまみれになった二つのプリンが、ナニなスプーンが暴発して本懐を遂げた後のパイパイにしか見えないんだよ。
俺はもう純粋無垢だった子供の心を再現出来ない汚れきった大人になってしまった。悲しいなぁ。
「さっきから騒がしいけど何があったのかな?」
厨房から出てきたのは店主のフェンだ。料理を食べるのも作るのも好きな、ぶいなろっ!!の料理番。
彼女の手料理を食べたぶいなろっ!!メンバーは皆、胃袋を掌握されている。
その状況はリアルでもGTRでも変わらない。フェンは俺を見ると面白いものを見つけたかのようにニヤリと笑った。
「ふぅーん、君はボクが作った料理がお気に召さないようだねぇ」
「そんな事は……チャーシュー丼は完食しましたよ」
「でもパイパイプリンは食べてないよね? 濃厚練乳ソースがたぁ~っぷり掛かってて、甘くてぷるぷる滑らか食感で美味しいよぉ」
「確かに美味しそうですけど、どうしてこんな卑猥なプリンを作ったんですか?」
「それは勿論作りたかったから! 苦労したんだよ、皆のおっぱいの形、大きさを研究し試作を重ね失敗を繰り返し、ようやくここまで辿り着いたんだから」
この人は非常に危険だ。食欲と性欲を混同して世の中に生み出してはならないプリンを生み出してしまった。デビュー間もない頃は元気印のノームと同類かと思っていたが、とんだ見当違いだった。
フェンはメルア、サターナ、セリーヌと同類のドスケベセンシティブ枠だ。亀甲縛りチャーシュー作り配信の際に発情していたド変態だぞ。
「とにかく食べてみてよ。山の
「それプリンの話だよね!? 回答と行動次第でこっちが変態のレッテル貼られる危険性ないよね?」
不安ひしめく中、スプーンを山の中腹に当てるとプルンプルン震えた。
「生きてる!? このプリン生きてますよ!」
「君に食べて欲しくて悦んでるんだよ。ところで君は山の中腹から攻めるんだね~。そして中腹を入念に征服しながら山頂を目指す……と。お楽しみは最後に取っておくタイプかぁ」
「プリンへのアタックの仕方で
フェンのパイパイプリンセクハラを受け、いっそのこと先端から食ってやろうかと思った瞬間、食堂の玄関ドアが開き三名入店するのが視界に入る。
一人は学生服姿の男性に見えるが女性――五期生のバハーム、二人目は地雷系ファッションの三期生フェネル、三人目は眼鏡を掛け小学生みたいな格好をした六期生のベルフェ。
期せずして悪魔探偵と悪魔のノートと目の力を授けられた三人組と出くわした。
「いらっしゃいませ。三名様ですね、こちらのテーブル席へどうぞ」
ルイーナが接客し三人組は俺の近くのテーブル席に座った。お客が来たのでフェンは「ゆっくり食べてね」と呟くと厨房に戻っていった。状況的には一難去ってまた一難といったところか。
ぶいなろっ!!~デビュー3分で前世バレする伝説を作ったVTuber。そんな推しライバーの俺に対する距離感がバグっている件。俺はいちリスナーであって配信者ではない!~ 河原 机宏 @tukuekawara
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