早熟の蝉 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト(【短歌】二十首連作部門)

SIN

第1話

朝が来て私は目覚め起き上がる頭が痛い呼吸がつらい


嘔吐する感覚だけで何もないとにかくすべて終わってほしい


感覚は無理矢理起きた深夜すぎ 呼吸音さえノイズに思う


深呼吸 呼吸を深くもっともっと生きるためより助けてほしい


落ち着いて私はいったい何なのだろうどうしてだろう何故そう思う


今はただ記憶をたどる我一人 自分の中の短い旅路


薄暗い見知らぬ部屋のテーブルのレポートらしき走り書きたち


よみがえる記憶のかけらを集めては状況を知る手がかりとする


断片の記憶は告げた「冬が来る」背筋を抜ける負の感情を


閉じこもるそうして私は閉じこもるすべてを捨てて閉じこもった


知らされたここは時間がないらしい 逃げ込んだのは私だけだと


知るべきは自分の恥とわかっている 見捨てたという感覚はイヤ


旅立つはいつかではなく確認と 重き扉を幾重にも開け


飛び込むは懐かしきかな陽の光 光は寒くまだ遠き春


山は奥 バス停らしき残骸のそばに腰かけ空を見る


空を見る 星を見上げて 風を見る 木々のざわめき消失無音


嗚呼これが涙なんだと どうしてだろうこぼれるは笑み


新緑の季節に鳴ける蝉は今 同族たちは滅びたと知る


知らぬこと知らぬままに呼吸をし季節が少し早かったこと


空は蒼 季節は巡る わが命我が絶つまで知らぬは孤独

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早熟の蝉 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト(【短歌】二十首連作部門) SIN @yamihosu

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