第21話 商店にて

翌朝、目を覚ますとエリナベルも同じタイミングで目を覚ましていた。エリナベルの枕元にはカーバンクルのセラスがくるまって寝ていたのでそっと起き出しエリナベルに、


「おはよう。ちょっと外で身体を動かしてくる。後で一緒にソレイユ達の所にいかないか?」


「アステル。おはよう。良いわね。朝食を頂いたら行きましょう」


身支度を整えて部屋を出ると、1階の食堂で朝食をいただくとそのままソレイユ達の居るギルドマスターの館へと向かった。

館に到着すると厩へと移動して、ソレイユ、ヘクトル親子に会いに行く。エリナベルが2頭に駆け寄り。


「ソレイユ!ヘクトル!遭いたかったわ!」


と声を掛け、俺も、


「ソレイユ。ヘクトル。おはよう」


と2頭に声を掛ける。


〘エリナベル、アステル。おはよう。もう旅に出れるのかしら?〙


〘・・・おはよう〙


ソレイユはいつでも出れるぞと厩から出て行きたそうにしているがヘクトルはまだ眠たそうに挨拶を返してきた。

ソレイユの問い掛けにエリナベルが返事をする。


「ソレイユごめんね。まだ旅立てないの。私は城で閉じ込められて何の教育も受けていなかったから、今、ギルドでお勉強なの。暫くお勉強したいから未だ待っていてくれない」


〘そうなのね。でもたまには私達に騎乗して走らせてちょうだい。此処にじっとしているのは性に合わないわ〙


「そうね。もう少し待って。頑張ってお勉強してそうすれば騎乗出来る時間が作れるから」


〘分かったわ。頑張って来なさい〙


「ありがとう。頑張って来るわ。アステル。行ってきます」


「あぁ。行ってらっしゃい」


〘アステル貴方は何かあるの。無ければ……〙


「申し訳ないがこれから馬具の調達に商店へと繰り出すよ。騎乗したくても馬具なしではつらいからな」


〘そうだったわね。人間を乗せるには馬具が必要だったわね。それじゃ待ってるわ〙


こうして、エリナベルはギルドへ、俺は馬具の調達に商店街へと向かった。商店の建ち並ぶ大通りは既にそれぞれの店は開店しており様々な物が売られている。俺は革装備の売っている商店を見つけて中に入ると、カウンターにいる40代であろう男性に声を掛ける。


「すいません。馬具を購入したいのですが…」


「おう。…坊主。お遣いか?馬具って云うもんは安くはねぇぞ。それに坊主じゃどれが良いのか分からねえだろ。馬は何処に居るんだ?」


「え〜と。冒険者ギルドのギルドマスターの家にいます」


「ギルドマスターのお遣いか。それなら馬具屋のトーレスが明日のお昼に伺うと伝えておけ。馬を見て馬具を拵えてやるってな」


「分かりました。ギルドマスターに伝えます。宜しくお願いします」


「おう。ちゃんと伝えるんだぞ」


俺は馬具の店を飛び出し冒険者に向かった。

よく考えれば馬体も見ずに馬具を購入するなんて浅識だった。思わず羞恥心に顔が赤くなって来る。そんな気持ちで気が付けばその場を離れたいが為に走り出していた。


しばらく冒険者ギルドへ向かって走っていたが、慌てて伝言を伝える事も無いと気付き、走るのを止めて歩き出す。そして伝言はエリナベルを迎えに行く時でも間に合うと思い至り、Uターンして近くの人気の無い路地へと入る。


そこで辺りを見回して人気の無い事を確認すると隠密と気配遮断を使い人から見えない様にして大通りに出る。


大通りに出た後、宝飾店の作業場を覗き、細工師の仕事を人通り確認して店を出る。そして薬師店を見付けてお店に潜入すると、そこでも薬を作る作業をじっと眺めて工程を確認して行った。


薬師の作業を見届けて店を出ると良い時間になって来たので冒険者ギルドへと向かう事にした。

冒険者ギルドに到着すると未だ講義は終わっていない様でエリナベルの姿は無かった。なので受付に向かってカウンターの女性に、


「アステルっていいます。ギルドマスターにスレイプニルについてお話があると伝えて下さい」


「分かったわ。少し待って」


受付の女性は席を立って階段を上っていった。俺は暫く待つと思って近くのベンチに座ってお迎えが来るのを待つ。冒険者が依頼を終えて帰って来だした頃、受付をした女性が戻って来て、


「ギルドマスターがお会いになります。どうぞこちらに」


そう言ってカウンターの先にある階段へといざなわれて3階のギルドマスター部屋を進んだ。そして受付女性が扉をノックして、


「アステル様をお連れしました」


と告げる。するとギルドマスターが部屋の扉を開いて俺を迎え入れてくれた。


「アステルよく来たね。 君。ここまでで良いよ。案内ありがとう」


「畏まりました。失礼致します」


受付女性はそのまま戻って行き、俺はギルドマスターの部屋に入るとギルドマスターから、


「ささっ。ソファーに座って。話と云うのは何かな」


俺は着席を促されてギルドマスターの対面に座ると、


「実はスレイプニルの馬具を購入しようとお店に行ったのですが店主のトーレスさんから馬を見ないと馬具は売れないと言われて、トーレスさんが明日の昼にスレイプニルを見に行くと伝える様に言われたものでご連絡に来ました」


「ははは。そういう事かい。分かった。明日の昼だね。予定しておこう。もうすぐ講習も終わるだろうしエリナベル終わり次第はこちらに来る様呼んでいるから少しここで待っていなさい」


「ありがとうございます」


すると扉がノックされて「エリナベルです」という声が聞こえた。するとギルドマスターが


「アステル。開けてあげなさい」


と言われたので、「はい」と返事をして立ち上がり扉を開ける。するとエリナベルがびっくりした表情で、


「アステル!何でいるの?」


「ははっ。馬具の件でギルドマスター相談があって、それを終えてエリナベルがこちらに呼ばれていると知って待っていたんだ」


それを聞いていたギルドマスターが、


「ふっははは。エリナベル驚いた様だね。たまたまアステルがこちらに来て話があるとの事だったから、一緒に帰るのだろうと呼んだんだ。合流出来たのだから気を付けて帰りなさい。アステル。明日の昼に私の家で集合だ」


「分かりました。では失礼します」


俺はエリナベルの手を掴んでギルドマスターの部屋を後にした。



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不遇な王女様と孤児の俺〜文字化け職業を授かった2人の冒険譚〜 ウェルディング @welding

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