第4話
朝の満員電車で崩れた髪を少し直していると、歯を磨き終わった三奈が振り向いた。「ヒステリック大山、今日もガチでキモい、最悪」と、目の下を凹ましている。ヒステリック大山というのは、 私たち直結のチーフであり、なにかと理由を探しては最近の世代は。女だから、と、いつも言っている、低いバスで編む罵詈雑言は、せっせせっせと目を凝らし、やっと見つけた獲物なもので、嬉しそうに部下に咆哮する姿は犬と変わらない。
女はいいよな、で始まる決まり文句は彼のアイデンティティでもあるが、一変、夜な夜な女子トイレで自慰行為をしている。という噂は女子社員の中では有名だった。
数々の芸能人のお墨付きとされているこのホテルが円滑に回れているのは、チーフにただ従う。ということに専念できているからだろう。
髪がまとまってきたところで、三奈が、「やっぱり別れることにした。」と話を変えた。
「え、うん。…何回目?」と返す、このやり取りはもう3回目だ。彼氏に、俺の性癖は三奈では発散できない。と言われから、めっきりセックスレスになった三奈にも、遂に限界が来たか。
わかる、私もセックスレス。彼氏幽霊。…とこのまま打ち明けてしまおうか、そう悩んでみるが、信じてくれることもないだろう。
ホテル制服に着替え、フロントに向かった。
幽霊彼氏 @murat_____
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