第2話  元宮廷魔術師


「にしても俺への視線が凄いな」

 

 俺は屋敷の中を歩きながら、周りを見渡した。

 

 使用人たちは俺を見て、ヒソヒソ話している。

 

 まあ、そりゃそうか。


 オルタナは使用人にかなり酷い扱いをしていたらしいからな。

 

 そして俺はリッカがいる部屋に着いた。

 

「入ってもいいか」

 

 俺はドアをノックする。

 

「どうぞ」

 

 部屋から声が聞こえてきたので俺はドアを開けて、部屋に入る。

 

 そこには赤髪のロングヘアで無表情な女性が立っていた。

 

 ゲームでは何度も見ていたが、やっぱり美人だな。

 

 名前はリッカ・シュベルテッド。


 年齢は23歳らしい。


 ゲームでも五本の指に入るくらい好きだったキャラクターで、魔法キャラが好きな人はリッカ推しも多かったと思う。


 凛とした性格で魔術もゲーム中トップクラスで、かなり優秀だった記憶がある。

 

「リッカ、少し話があるんだが」

 

 俺がそう言うと、リッカは無表情で俺を見る。

 

 その目は俺を軽蔑しているように見えた。

 

「なんでしょうか?」

 

「え、えっと……魔法を俺に教えてくれないだろうか?」

 

 俺はたどたどしく、リッカに話しかける。

 

 ネットでは凄く好きだったリッカだけど、会うとめちゃめちゃ緊張してしまう。

 

「いきなりですね」

 

 リッカは少し驚いたようだった。


 少し口元がピクッと動いた気がする。

 

 俺はリッカの無表情な顔を見ながら、話を続ける。

 

「魔法に興味が湧いてな。俺はこれから魔法について学びたい」

 

「ど、どうしていきなり? 今までそんなこと一度も言ったことないじゃないですか」

 

 リッカは怪訝そうな顔で俺を見つめる。

 

 俺は何とか話をつなぐために、必死に喋った。

 

「俺は魔法に興味がある。だから、魔法について学びたい」

 

「そんなに魔法を学んでどうするんですか?」

 

 リッカは俺を疑うような目で見る。


 まあ確かに今まで散々使用人に酷い扱いをしてきた奴が魔法を学びたいなんて言ったら怪しむのも無理はない。

 

 でも俺はどうしても魔法を知りたい。

 

 そして、俺はあることを思いついた。

 

「俺は魔法を学びたい。そして、魔法を学んで、人の役に立ちたい」

 

 俺がそう言うと、リッカは驚いたような顔をした後、すぐに冷たい表情に戻る。

 

 俺はリッカがこの話に乗ってくれるのを祈る。

 

 するとリッカは俺に向かって言った。

 

「良いですよ、理由は分からないですが、オルタナ様が魔法を学びたいと言うのであれば、私が教えます」

 

「ほ、本当か!?」

 

「はい、それでいつから始めますか?」

 

「明日からお願いします!」

 

「分かりました、では朝この部屋に来てください」

 

「分かった」

 

 俺はリッカに礼を言うと、部屋を出る。

 

 まさか、こんなに上手くいくなんて。

 

 しかし、まだリッカは俺を怪しんでいるようだった。

 

 でもまあ、とりあえず魔法について教えて貰えることになったんだ。

 

 俺はこのチャンスを逃すわけにはいかない。

 

「それじゃあ明日から頑張るぞ」

 

 翌日、俺は朝早く起きて、リッカの部屋に向かうのだった。



―――





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俺、転生したら悪役貴族だったのでゲームの知識を駆使して無双します @Soraran226

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