君のほほえみの残像 雛罌粟のように明るい雨の残像
「君のほほえみ」「雛罌粟」「雨」という三つの一見相容れない要素たちが「明るい」という言葉によって束ねられている
主観的な「明る」さが危ういバランスで短歌を成り立たせる。
その手さばきはまるで点描画のようだ。
「きみのほほ」(五音)「えみのざんぞう」(七音)という句またがりの手法も含めて生き生きとした「新しさ」を感じさせる。
「新しさ」とは必ずしも実際に発表年代が新しいことを意味しない。
「新しさ」にとっては、この短歌と同じ系列に入るであろう印象派絵画達が、近代のフランスで花開いたことなど大した問題ではないのである。