第8話異世界士官候補生東京観光幕引(後編)

ビスリル士官学校

校長室に呼び出されたグロース

ブラズニル校長

「グロース君、協商連合の報告の件ありがとう。

協商連合とフレック公国が不穏な動きをしていることは我々も周知。」

グロース

「さようでございますか?」

ブラズニル校長

「そうなれば戦争の可能性も非常に高い、戦争に駆り出される可能性が高い。」

グロース

(協商連合の暗躍を見れば戦争を引き起こす可能性もありうる。)

ブラズニル校長

「君は東京観光いいや東京演習を通して数多くの難事件に遭遇するも機転を持って解決

実に素晴らしい。」

グロース

「ありがとうございます。」

ブラズニル校長

「東京観光が功を奏したのか君のリーダーシップと戦闘能力はビスリル士官学校においては3年生レベルに達している。」

*ビスリル士官学校の最高学年は3年生

ブラズニル校長

「もうすぐ夏季休暇、それにともなって今度は学校側で特別休暇措置として

東京滞在を許可しようと思うのだがいかがかな。」


グロース

「よろしいのでしょうか。」

ブラズニル校長

「君の成績が優秀でもあるし、もちろん交通費などはこちらで負担するとしよう。」

グロース

「わかりました。」

ブラズニル校長

「進級すれば、あれやこれやでこうした観光もできなくなるかもしれないぞ、今のうちに思う存分楽しんでおくがいい。」


グロースは校長室を出ようとした。

ブラズニル

「ああ、そうそう最後に1つ。」

グロースは

「なんでしょう?」

ブラズニル

「できれば私にもお土産を買ってほしいんだけど。」

グロース

「わかりました、それでは。」

グロースはドアを閉めて校長室を後にした

校長室の前でアルキヌス教頭と遭遇

アルキヌス教頭

「グロース君、何か問題でも起こしたのかね?」


グロース

「特に問題はございませんが?」


アルキヌス教頭

「ならよかったよかった、君のことだからまた何か問題を起こしたのかと思っていたよ。」

「それとは何かまた男女いちゃいちゃ観光旅行の企画立案の相談かな?」

グロース

(どこまで皮肉って来るんだこのクソ教頭)

アルキヌス教頭

「まあでもあの校長から許可を貰っているのなら、何も言えないがな。」

「まあなんだ、せいぜい夏季休暇を有効に使ってくれ。」

グロースは校長室の前の教頭の不気味さを感じながら教室に戻った。

グロース

(たぶんアルキヌス教頭もまた山崎宗厳とともにつるんでいる。

二人は学校でスパイ活動をしているに違いない。)


しばらく歩くと、フギン先輩と遭遇した。

フギン先輩

「あら、グロース君また何かやらかしたの?」

グロース

「いや特には。」

フギン先輩

「あらそう、それなら良かったわ

ところで何か問題とかなかった?」

グロース

「いやとくにないです。」

フギン先輩

「ならよかった、アルキヌス教頭どことなく腹黒いところがあるからな、警戒しておいたほうがいいぞ。

これは先輩の極秘マル秘アドバイスだ。」

グロースはうなずいた。

グロース

(フギン先輩にそういわれると何となくほっこりするな。)

グロースは教室に戻った

サバロフ

「どうしたグロース、何となく嬉しそうだぞ。」

グロース

「ウルソムとサバロフ聞いてくれまた東京滞在の許可が降りた。」

ウルソム

「そうか。」

サバロフ

「今度って夏季休暇の時だよな。」

グロース

「そうだ夏季休暇中に1週間の東京滞在許可、さらに交通費は自腹じゃなくて士官学校もち。」

ウルソム

「やったー。」

サバロフ

「おれたちも一緒に行くぜ。」

グロース

「合点招致、ウルソムも来るよな。」

ウルソム

「行かせていただきます。」

サバロフ

「今度の東京滞在が終わったら俺たち2年生か。」

グロース

「新入生のかわいがりは控えろよサバロフ。」

サバロフ

「それぐらい心得ているよ、

新入生か、どんな奴らが入ってくると思うんだなぁ、ウルソム。」

グロース

「ひげもじゃのおかまや全身にボディーペイントした奴や、ゴスロリマニアみたいな

奴はまず入学してこないだろう。」

サバロフ

「俺たちと変わらないと思うぜ。」

ウルソム

「そうだな。」

サバロフ

「きっと俺たちと同じように

苦労を乗り越えて来た凛々しい奴ばかりなんだろうな。」


教室に先輩がやってきた

フギン先輩である

フギン先輩

「もしかしたら俺も東京に行くかもしれないぜその時は一緒に遊ぼうぜ。」

ウルソム

「ありがとうございますフギン先輩。」

サバロフ

「先輩がいたら心つよいな。」

グロース

「日程が合ったらぜひ御供させていただきます。」

フギン先輩

「わかったぜ、でも気を付けろよ、東京観光だけじゃなく士官学校内の生活でもな、

寝首を搔かれないようにしろよ、まぁ軍人の鉄則だ。」


グロース

「了解であります。フギン先輩。」

三人はフギン先輩に敬意をこめて敬礼した。


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ところかわって廃校の音楽室内

グロースはジェイソン仮面の男の正体に驚いた

目の前には

フギン先輩がいたのである。

グロース

「フギン先輩なぜあなたがここに?」

フギン先輩

「もちろん協商連合そして東京に本社を構え得るSD社の関係者としてと言っておこうか。」

グロース

「そしてそばにいる男、いつかは知らないがかすかに覚えている。」

フギン先輩

「そうこの男だよ。」

フードを外した

日本人風の顔をした73分けの中年男性が目の前にいた。

中年男性

「グロース君ひさしぶりだね、今はウィラリアで闇医者をしている宮石天下だ。」

グロース

「宮石さん、たしか幼少期にあったことがある。」

宮石天下

「単刀直入に言おう、私は君の性転換手術をうけもった医者だ。」

グロース

「性転換手術、どういうことだ?」

宮石天下

「君は軍事国家ラコニアで誕生した、女子として。」

グロース

「あの時代遅れの軍事教育をすることで有名な軍事国家ラコニアで俺が生まれ育った?」

(たしかにかすかに記憶にはあるがそういった場所で育った記憶がある。)

宮石天下

「しかしガモス王国にラコニアは敗北、女と女の子どもは奴隷か殺処分される運命に。

多くはレOプされ殺される運命にあった」

グロース

「もしかして俺もその中に該当していたってことか?」

宮石天下

「その通り、だが君のお母さんがとても美しい方でな、バース王国のセディリオン家の男爵様と

懇意な関係。」

(バース王国の貴族様か。)

宮石天下

「男爵様は跡取りが欲しかった、養子が欲しかったのだ、男子のな。

君のお母さんは君を男子に変えてほしいと私に性転換の依頼。」

グロース

「たしかに俺はセディリオン男爵の養子だ。

男子として育てられ戸籍上も男性だ。」

宮石天下

「私は承諾、君の性転換手術を受け持った、そもそも当時のウィラリアには私以外に性転換手術

いやまともな医療を施せるものが皆無だったからな。」

グロース

「父親は死んだおふくろから戦死したって聞いたことがある。」

宮石天下

「そう、君がなぜ高額な私の闇手術を受けることができたか気にならないか?」

グロース

「・・・。」

宮石天下

「旦那が戦死する前からきみのおふくろはセディリオン男爵と愛人関係

つまりきみのおふくろは浮気をしていたわけだ。」

グロース

「セディリオン男爵はおふくろが結婚することを条件にお前に手術代を支払った。」

宮石天下

「ご名答、さすが学年トップクラスの士官候補生、話はここまでにしておこう。」

グロース

「・・・。」

フギン先輩

「かなりこたえているなグロース

俺が士官学校でスパイ活動をしている理由知りたくないか?」

グロースはうなずいた

フギン先輩

「封建制度を崩壊させるためこれが最大の理由だ。」

グロース

「それは。」

フギン先輩

「ウィラリアの今の社会制度は歪んでいる王侯貴族が得をして一般庶民は貧苦にあえぐ

俺もその中の一人だった。

この世界のことも少しは学んだフランス革命や独立戦争、日本で言うなら明治維新

これらは今では世界で礼賛されている産物だ。」

グロース

「何が言いたい。」

フギン先輩

「ウィラリアでの革命を成功させるには多少ばかりの犠牲は必要不可欠なんだよ

革命を起こし世を変革するには多少ばかりの犠牲はやむえない。」

グロースは黙ってフギン先輩の話を聞く。

グロース

「しかし、イニエチェリを誘拐、神楽坂病院を爆破、魔王と結託して世界を混乱

これってどうかんがえても狂気じみている。」

フギン先輩

「イニエチェリを誘拐したことは申し訳ないと思っているよ。

だが今起きていることは今後起こることからすれば序曲にすぎない

今後、大きな騒乱が起こり多くの血が流されることになる。」

グロース

「では聞くがどうして病院を爆破した。」

フギン先輩

「SD社に反発するレジスタンスがいたからだよ。

この件は君に関係ない。

レジスタンスは負傷して病院で治療、放置してもいいと考えたが後先に事を考え

爆破して葬り去ることにした。」

グロース

「何てむごいんだ、冷酷すぎる

それはそうともイニエチェリを返してもらおう。」

フギン先輩

「ああいいだろう、それには条件がある。」

グロース

「条件?」

フギン先輩

「君も我々の同志になれ」


グロースは絶句

宮石天下

「そうするしかないんだグロース君、我々は君のことをよく知っている、

そして君は非常に優れた軍人になりえる人材だ、

君がいれば我々にもっと戦力が加わろう。」


グロース

「俺の答えはこうだ。」

グロースはイニエチェリに向かって剣の衝撃波を放った。

宮石天下

「どこをねらっている。」

フギン先輩

「同士討ち?」

グロースの放った衝撃波はイニエチェリを束縛していた鎖をときほどいた。



宮石天下

「くそ」

フギン先輩

「しまった。」

グロースは叫ぶ

「イニエチェリ逃げろ。」

イニエチェリは狼狽しながらも

フギン先輩と宮石を突きグロースの元に駈け寄った。

宮石

「逃がさない。」

宮石がナイフをイニエチェリめがけて投げた

グロース

「まずい。」

グロースはナイフをはじいた。

宮石

「ならこれならどうだ。」

ビーカーを両手に持ってグロースめがけてビーカーを投げつけた。

グロースはビーカーもまた弾いた

ビーカーはパキンと割れた。

宮石

「計算通り。」

ビーカーに入っていた液体がグロースの体に付着

グロースは悶えた

「ぐっ・・・なんだこれ・・毒か。」

宮石

「この液体は私が調合した揮発性の高い猛毒

皮膚に吸収されればたちまち体内に猛毒が回る。」

グロース

「うぐぐ~」


イニエチェリ

「グロース。」

宮石

「安心しな、あの程度じゃ即死なんてしないさ。」

イニエチェリは呪文を唱えた。

「クリスタルケア(治癒水晶)」


イニエチェリは回復魔法を放った。

宮石

「・・・これは回復魔法。」

グロースの体内から毒が消え去った。

グロース

「大丈夫かイニエチェリ、すまない心配をかけた。」

イニエチェリ

「救ってくれたお礼よ。」

グロースは立ち上がり

宮石に向かって叫んだ

「こんな卑怯な真似しやがって許さん。」

グロースは剣を構えて突撃

宮石もまた焦りと興奮で

「こうなったら刺し違えてでもおまえを倒す。」

宮石がナイフを投げた

グロースはそれを避けた。

グロースが宮石にとどめの一撃を刺そうとした瞬間

フギン先輩が

「プレイヤーチェンジ。」

グロースの剣をフリスビーのような武器で受け止めていた。

グロース

「・・・。」

宮石は安堵した

「助かったフギン。」

フギン先輩は

「宮石、落ち着け、冷静になるまでじっとしてろ、今から俺がこいつらの相手をする。」

フギン先輩はフリスビーを構える

グロース

「たしかフリスビーが趣味って言ってたよな、このことかよ。」

フギン先輩

「ため口、ばかりしゃべりやがって先輩に対して敬意のない奴だ。

よかろう俺のフリスビー愛、口で語るより、実戦でわからせてやる。」

グロース

「参る。」

フギン先輩はフリスビーを素早く投げた。

グロースはフリスビーを間一髪のところでかわした。

グロースは頬から痛みを感じた。

グロース

「これは刃。」

フギン先輩は

「そのとおり、このフリスビー、周囲は鋭利な刃物、チタン製の立派な殺傷兵器よ。」

グロースは剣でフリスビーを切った。

グロス

「くそっ切れない。」

フギン先輩は

「チタン製の強度をもつこの武器、いくらお前でも切れるわけがない。」

フギン先輩はさらにもう一枚のフリスビーを手に取った

フギン先輩

「フリスビーが一枚だけだと思ったら大間違いだ。」

フリスビーを投げつける。

グロース

「うりゃ。」

フギン先輩

「ふっふふん、そんなんじゃ俺のフリスビーは防げん。」

イニエチェリ

(こいつ何をやっているんだ?)

フギン先輩

「そろそろ覚悟を決めろよ。」

フギン先輩はフリスビーを再び投げる、

一枚目を投げ終えたら

二枚目を投げる。

フリスビーはブーメランのごとくフギン先輩のもとに戻って来る。

グロースはフギン先輩の攻撃をかわしにかわすが

フギン先輩の懐になかなか入ることができない。

フギン先輩は1枚目、2枚目のフリスビーをキャッチすると

フギン先輩

「なかなかやるねグロース次はこうするとしよう。」

フギン先輩は三枚目のフリスビーを取り出した。

グロース

「三枚同時に投げつけるか。」

フギン先輩は3枚同時に投げた

フギン先輩

「3枚目は先ほどのフリスビーとはちと違うぞ。」

フギン先輩は1枚目、2枚目のフリスビーを投げ

3枚目のフリスビーを投げた

フリスビーは放電している。

3枚目の放電したフリスビーはグロースの肩にヒット

グロースは感電した。

グロース

(電気か。)

3枚目のフリスビーの感電にもだえ苦しんでいるさ中、

1枚目のフリスビーがグロースに胸にクリーンヒット。

続けて2枚目のフリスビーも腹部にクリーンヒットした。

グロース

「とてつもないダメージでも何とか立つことができる。」

イニエチェリ

「よかった密かに硬化魔法かけておいたんですよ。」

グロース

「ありがとうイニエチェリおかげで致命傷を免れたよ。」

グロースはイニエチェリに抱き付いた。

「いつもありがとうイニエチェリ。」

イニエチェリは照れくさそうに

「グロースさんが無事で何よりです。」


安っぽいラブシーンを見せられ宮石は業を煮つやし

宮石

「お前ら、そろそろくたばりやがれ。」

宮石は拳銃を取り出しグロースめがけ発砲した。

しかし倒れたのは宮石である。

宮石

「どうして俺が、発砲したはずなのに。」

目の前にはアイルさんが立っていた。

アイル

「やれやれ見てられないよ、イニエチェリも救いだされたし

ここは私に任せて帰りな。」

グロース

「ありがとうございますアイルさん、でも。」

アイル

「いいんだ、機動隊も呼んだし、地元警察も呼んだ、これ以上君たちが首を突っ込む

必要はない帰りな。」

イニエチェリ

「アイルさん魔法使えるんですね。」

アイル

「そりゃビスリル士官学校出のバース王国特別捜査隊員よこれぐらい朝飯前よ。」

「エールフレッシュ(空気の矢)は捜査隊員の基本技だからね。」

エールフレッシュ(空気の矢)は空気圧を利用した攻撃魔法

殺傷能力はないが相手の動きを止めたり気絶させるときに多用する技。

アイル

「あのおっさんは気絶しているだけだし心配しないで。」

イニエチェリ

「じゃあ私たちはこれで失礼。」

グロース

「そうだな失礼します。」

するとフギン先輩が

「お前たちこのまま生かして返すと思ったか?」

フギン先輩は3枚のフリスビーを同時に取りだした

そして上空に投げた。

フリスビーは合体し巨大フリスビーに変貌した。

フギン先輩

「警察関係者を巻き込むのはちとやばいと思うがやむえない、いいかこの技は避けることも防御も不可能、放ったら最後、周りの生きとし生けるものはすべて死滅する。

すまないが死んでもらうそこの年増の捜査官と一緒にな。」

アイル

「おい何が年増だ小僧。」

アイルさんは拳銃をフギン先輩に向けた。

フギン先輩

「辞世の句としてはユニーク

苦しませやしない安らかにレストインピース。」

フギン先輩は巨大フリスビーを

「アルティメットムーブ、カタストロフィキュクロス(破壊円盤)」

フリスビーは光り輝いている

放つのにチャージ時間が必要な技のようだ。

アイル

「逃げるぞ。」

イニエチェリとグロースは走った。

アイルさんも走る

フギン先輩

「逃げも無駄だ。もうすぐ発動する。」

フリスビーのチャージが完了したようだ

フギン先輩はチャージされたフリスビーを逃げる3人に向かって投げつけた。

フギン先輩

「レストインピース。来世は平凡な人生に転生しろよ。」

アイル

「・・・。」

グロース

「まずい、避けることも防ぐことも出来ない。」

アイル

「・・・。」

次の瞬間、大声が

「チェストー。」

フギン先輩のいる場所の天井が大きく崩壊、

フギン先輩はその場を離れた。

フギン先輩

「いったい何者だ。」

天井が破壊されほこりや煙が辺りにまきちられてよく見えない。

煙やほこりが次第に周りから消え、そこに立っていたのは

グロースやイニエチェリやフギンにとって見覚えのある男である。

グロース

「お前は」

イニエチェリ

「あなたは。」


195センチほどで柔道着を纏っている右手には木刀を持っている。

そしてグロースに向かって語る。

「グロース君、遅くなって済まない、やっぱり僕も君の仲間だよ。力になりたいんだよ。」

グロース

「山崎宗厳じゃないかいったいどうして。」

山崎

「もちろん君に協力するためだ。」

グロース

「お前、もともとはあいつらの仲間だったんじゃないのか一体、どんな心境の変化があったんだ。」

山崎は唖然とした。

「仲間ってあのフギン先輩のことを指しているのか。

もともと仲間じゃないし協力も何もしていないよ。」

グロース

「スパイ活動とかしているって聞いたぞ。」

山崎

「スパイ活動、果て何のことやら。」

イニエチェリ

「グロースさんこれ以上山崎さんを追い詰めるのやめましょう

彼はシロです。疑う必要ありません。」

グロース

「すまない山崎さん、疑って悪かったよ。」

山崎

「気にするな、それより早くここから脱出したほうがよさそうだ。」

グロースはうなずいた。

フギン先輩

「そうはさせるか第二波発動開始!

アルティメットムーブ、カタストロフィキュクロス(破壊円盤)」

フリスビーは光り輝いている。

フギン先輩は今度こそは逃がさないつもりで彼らを狙っている。


グロース

「逃げられないかも。」

山崎

「みんな僕を信じて。」

山崎は木刀を思いっきり床にたたきつけた

山崎

「チェストチェスト!!」


山崎の放った渾身の一撃は床を打ち砕いた。

彼らは抜け落ちた床と同時に落下した。

グロース

「すごい技だな、柔道以外に剣道もお手の物だな。」

アイル

「示現流ってやつだろ。」

山崎

「そうですね、うちは鹿児島の武術の名門の出、そりゃ柔道や剣の稽古は嫌と言うほど

やらされましたからね。」

イニエチェリは上を見上げた

どうやらアルティメットムーブ、カタストロフィキュクロス(破壊円盤)

が発動したようだ。

威力がすさまじくフギン先輩のいるフロアのありとあらゆるものを破壊している

光景を一部うかがうことができる

アイル

「まともにくらっていたらお陀仏だったな。」

イニエチェリ

「山崎さんのアシスト大感謝です。」

フギン先輩は大いに悔しがった

「あと一歩で葬り去れたものの。」

フギン先輩も逃げていく4人を追いかける。

4人は必死に走りに走り建物から抜け出すことに成功した。

アイル

「さて、ここからどこに行くかね。」

山崎

「任せてください、僕を浅間山まで連れってくれた方が

近くで待機しています。」

山崎は彼らを誘導引率

近くの山林の森の中にやってきた。

アイル

「こんなところ、車やバイク止めれないだろ。」

山崎

「こちらです。」

山崎が指さした先にはドラゴンが待機していた。

イニエチェリ

「こちらってドラゴンのこと。」

山崎

「ええドラゴンが僕を浅間山に連れてってくれました。」

グロース

「ドラゴンでも何でもいい速くここから脱出しよう。」

アイル

「・・・わかったよ。」

4人はドラゴンの背に乗りこんだ

ドラゴンはさっそうと飛び出した。

アイル

「こりゃあ空を飛んでいる。」

イニエチェリ

「・・・これがドラゴン・・・。」

山崎

「実は神楽坂の祭に参加している間、グロースさんの危機をドラゴンから聞き

駆けつけた次第です。」

アイル

「・・・そうかご苦労さん、ありがとう山崎君。」

グロース

「昨日は疑って悪かったな。」

ドラゴンは関東の山岳地帯を空高く飛んだ

日の出を迎アイル

「ドラゴンに乗って日の出を迎えるとは思ってもみなかった。」

イニエチェリ

「一生に一度あるかないかの体験ですね。」

グロース

「あそこに見えるのは富士山じゃないか。」

イニエチェリ

「本当だ富士山だ。」

富士山を背に日は登ろうとしていた。

グロース

「何て美しい、日の出だ。」

アイル

「・・・そうだね。」


山崎

「こんな素晴らしい風景がまた見られるなんて幸せだな。」

ドラゴンは4人を乗せてひたすら東京に向かった。

ドラゴンは周りに正体を悟られぬよう東京の公園に彼らを卸した

山崎

「ありがとうドラゴン。」

グロース

「ありがとう。」

イニエチェリ

「送ってくれてありがとう。」

アイル

「私もたすかったぞ、ってバイク、浅間山に忘れてきた。

地元の警察に頼んで運んできてもらおう。」


ドラゴンは再び空高く飛んだどこかに飛び去った。


しばらくしてからグロースたちは異世界ゲートをくぐり東京から立ち去ることにした。


山崎

「グロース君、僕はまだ日本に残るよ、またビスリルには戻るからね。」

グロース

「おお、お前には助けられたからな、今度東京行くときは一緒に行こうぜ。」

山崎

「楽しみにしているよ。」

イニエチェリ

「ではさようなら。」

さらに

カウギさんやダックマンやドワーフたちが見送って来た

カウギ

「達者でなみんな。」

ダックマン

「元気でな。」

ドワーフたち

「ハイホー、またな、気を付けろよ。」

ウルソム

「まるで最後の別れみたいですね。」

サバロフ

「また東京に来る日は近いさ。」

アイルが現れ

「また来いよ。」

グロースたちはみなの見送りに涙を流した。

グロース

「おかしいなこんなに涙が止まらない。」

イニエチェリ

「しばしの別れじゃないですか、また会えますよ。」

グロース

「そうだな。」

そしてついにゲートの扉をくぐり抜けた。

夏季休暇も終わりに近づいたある日、ウルソムがグロースの元に駆けつけた

ウルソム

「大変だグロース。」

グロース

「どうしたウルソム。」

ウルソム

「僕たち、日本政府からの伝達で僕たち、日本に行けなくなったんだって。」

グロース

「それってどういうことだ。」

ウルソム

「日本政府の話によると東京観光を滞在をする度にトラブルや事件が起きるからだそうだ。

一種のブラックリスト扱いなんだって。」

グロース

「・・・そんな・・・どうして・・だって・・・」

ウルソム

「日本政府の一存じゃなくて日本政府にすり寄って来た何者かが仕向けたって話も聞くんだ。」

グロースは憤慨した

「くそったれめ、誰がそんな嫌がらせをしてるんだよ、許せないぜ。」

ウルソム

「本当、残念だよ、もっともっと日本のことを知りたい、体験したいって思ってたのに。」

サバロフ

「俺たちだけではなくてビスリル士官学校生みんなが対象なのか?」

ウルソム

「そこまではわからない、少なくともグロースやコナンやイニエチェリやマリニキはブラックリスト入りして日本に入国不可能ってことになったそうだ。」


サバロフ

「防衛とはいえ俺たちは毎回、剣や槍を持って数多くの刺客や敵と刃を交えたり死闘を何度も繰り広げている身この日が来てもおかしくなかったとも言える。」

グロースは拳を強く握っていた

「・・・許せない、絶対に許さない、誰だ日本に入れなくしたのは、必ず暴いてやる。」

サバロフもは黙って拳を握った

サバロフ

「・・・くそったれ。」

3人とも悔しさで一杯である。

目から涙が溢れ出ている。


コナン

「泣くなよみんな。」

コナンもまた目から涙が溢れ出ている。


ベルンは悔しそうな声で

「そうだよ、日本に行けなくなったからといって死んだわけじゃない前向きになろうぜ。」

ベルンは今にでも泣き出しそうだった。


一方女子たちもまた各自悲しみの声を上げていた

マリニキは泣きじゃくりながら

「え~ん日本に行けなくなった

それもこれもイニエチェリのせいだからねシーラのせいだからね

フリッピーのせいだからね。」

イニエチェリはすすり泣きで

「みんなのせいにしないでください。

日本政府が私たちをトラブルメーカー扱い、ブラックリスト入りしたのが原因です。

それにマリニキさん、いつもあたかも自分が引率して大盤振る舞いしているかのような

態度を取りますけどお金全部払っているの私だってこと忘れないでください。」

マリニキ

「陰キャのくせに生意気な私にたてついたらどうなるか

わかってるでしょうね。」

シーラ

「いまの泣きじゃくっているお主はイニエチェリに何もできんよ。」

フリッピー

「イニエチェリはお嬢様

マリニキは貧乏だけど篤志家に見初められて奨学生として士官学校に入学したんだね。」


マリニキはさらにどっと泣きじゃくった。

「どさくさに紛れてみんな私に意地悪する。

そうだけど事実だけど、日本にもう行けないなんてすごい悲しいじゃない。」

シーラ

「この泣き顔もはや士官学校主席入学とは思えない。」

フリッピー

「日本が恋しいよ。」

イニエチェリ

「私もです。」

マリニキはくどくどと

「日本が恋しいよ、日本が恋しいよ、日本の海が恋しい、日本の空が恋しい、日本の温泉が恋しい、日本のラーメンが恋しい、日本の温泉が~~~」

フリッピー

「マリニキ、飛行機とか乗ってないし海にも行ってない。」

マリニキ

「私の日本に対する哀歌を歌っているだけよ、口出ししないでくれる。」

シーラ

「わかったわかった、それにしてもイニエチェリたくましくなったな、以前ならマリニキに主張反論できなかったのに。」

イニエチェリ

「そうですね。

誘拐事件に巻き込まれたり暗殺者に狙われたりといろいろありましたからね。」

シーラ

「・・・そうだったな、私も一生にできない体験をいろいろさせてもらった。」

イニエチェリ

「そうです、日本では濃密な日々を送らせていただきました。

私たちの東京滞在は思い出として心の中でずっと生きています。」

フリッピー

「イニエチェリすごい立派なこと言う立派立派。」

イニエチェリ

「ありがとうフリッピー。」

フリッピー

「私も東京の想いで心の中で生きているそれだけでも幸せ。」

シーラ

「各人の心の中に残るほど東京での体験は素晴らしかったわけだ。」

マリニキは泣き止んだのか

「私も心の中でいい思い出いっぱいあるけどあるけど、やっぱりまだまだ

買い足りない物あるし、行きたいところもいっぱいある、。」

フリッピー

「マリニキ、往生際が悪い。」


イニエチェリ

「日本には行けなくなりましたがこれからは私たちがウィラリアを日本に負けないぐらい素晴らしい世界にすればいいだけです。」

フリッピー

「立派なこと言う偉い偉い。」

シーラ

「そうだなウィラリアをそんな素晴らしい世界にするそれが私たちの今後の仕事だ。」

マリニキ

「そうだけどそうだけどでももっともっと日本体験したい。」

女性陣はいつしか前向きになっていた。



男性陣はなかなか立ち直れず残りの期間、鬱屈した夏季休暇を過ごしていた。

新入生の入学式を控えた前日、グロースは校長室に呼び出された。


グロース

(ブラズニル校長、今度の件で説教とかしそう、憂鬱。)

グロースは恐々と扉を開けた。

ブラズニル校長とアルキヌス教頭が立っていた。

アルキヌス教頭

「やあグロース君、日本政府の入国拒否の件、残念だったね、まぁ毎回あれだけ派手に暴れていればいずれこうなることは分かっていたけどね。」

グロース

(こいついつも皮肉ってやがる。)

アルキヌス教頭

「おい小僧、挨拶せぬか、ブラズニル校長の御前だぞ。」

グロース

「・・・すいませんでした。」

ブラズニル校長はグロースをなだめた。

「・・・別に怒ってはいないよ、グロース君、日本政府の対応は残念だと思っている。

こちらは何度も嘆願したが日本政府は首を縦に振らなかった、実に申し訳ない。」

アルキヌス教頭

「まったくグロース君、我々はは君たちのために必死に何度も掛け合ったんだぞ、少しは感謝してもらいたいよ本当。」

アルキヌス教頭の言葉に嘘偽りはない、何度も日本政府に嘆願したが一士官学校の力及ばず結局、日本政府の決意は覆らず実に悔しい。

ブラズニル校長

「・・・すまないが日本政府の決定を覆すことは私には出来ない、君たちに日本に行けないのは残念だよ。」

グロースは悔しそうに

「・・・はい。」

ブラズニル校長は続けて

「新学期そうそうですまないが、君に特別任務を

与えることになる。」

グロース

「特別な任務?」

アルキヌス教頭はニヤニヤしながら書類を渡した

「校長直筆の重要書類だ無くさないように。」

グロース

「これは。」

書類には特別任務の内容が書かれていた。


ビスリル士官学校2年生グロース 香港駐屯特別任務

参加メンバーは.....................


グロースは書類に目を通し

「香港駐屯特別任務やらせていただきます。」

ブラズニル校長は微笑みただうなづいた。


異世界士官候補生、東京観光騒乱記 (完)






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