朝もやの時
海翔
第1話
秋が深くなり、紅葉も一段と色鮮やかに染まっていった。山々は黄色、赤へと山が移り変わっていく。
蔵王温泉も紅葉が終わると冬支度に入る。
優はこんな時期に温泉に入るのが好きだった。
今年も一人で、この宿にやって来た。蔵王温泉の町外れの小さな旅館だった。
「親父さん今年も来ました。よろしくお願いします」
そう言って、旅館に来た。
奥から、親父さんが「まあまあ中に入った、少し寒かったのでは」と迎えてくれた。
優はストーブのあるところに真っ直ぐ足を向けて進んでいった。
親父さんは「いつもの部屋空いているからそこに荷物持っていきな」と言ってくれた。
「今日はひとり旅の女性が一人いるくらいで暇ですよ。気楽にどうぞ」と女将さんが言った。
優はさっそく、いつもの部屋に荷物をおいて、浴衣に着替えて、体を暖めに温泉に入りに行った。
部屋の階段を降りて、川淵の方に向かうと温泉があり温泉から見ると前出に鮮やかなもみじが見えて、川の水がゆっくり流れている。
温泉に入ると誰か入っているようで、優も着ている浴衣を脱いで扉を開けて中に入ったらそこには女性が入っていた。
「優はお湯加減どうですか?」と聞いたら、
その女性は顔を赤くして「丁度良いですよ」と答えた。
優は「ここ混浴なんです、もし都合悪いようでしたら、私は後から入りますが」と言ったら、
その女性は「どうぞ気にしないで入ってください」と言った。
優は体にお湯を流して温泉に入った。
「私は植田優といいます」そう言うと、
その女性は「芝崎みずきといいます。ひとり旅でこの旅館に来ました」
優は「よろしくお願いします」と言った。
「みずきさんはいつまでここにいますか?」と聞いたら
「明後日までいます」
優は「私の方が2日長いですね。この旅館にはもみじと親父さんの料理を食べに毎年来ています」
「みずきさんは?」そう言われ
「私は失恋の癒し旅です」
「気分を変えて新しい恋をしたらいいですよ」と優は言った。
といってる間にみずきさんは湯船から出て洗い場に向かった。
みずきさんはスリムな体を惜しみ無く晒した。
そして、体の隅から洗い始めた。優は久々に見た女性の裸で興奮してしまった。
しばらくして入れ替わり優が体を洗い出した。
「みずきさん、ここの温泉中々いいでしょ。体が温まり疲れも取れて良く寝れますよ」
「ここにいる間に気持ちを変えて、帰るといいですよ」
「そうですね。私もここでゆっくり休んで新しい恋をします」
みずきはそういって、湯船から出て自分の部屋に戻った。
しばらくして、優も自分の部屋に戻った。
夕食になり親父さんが呼びに来たので食堂に行ったら、親父さん夫婦とみずきさんが席についていた。
女将さんから「ビール飲みますか?」というので、
優は「よろしくお願いします」と言った。
「みずきさんもどうですか?」と話したら「はい」と返事をした。
食事を取りながら、みずきさんと親父さんを交えて2時間ぐらい話して部屋に戻った。
寝るにはまだ早かったのでテレビを見てその後に風呂に行ったら、その後にみずきさんが入ってきた。
「また一緒になってしまいましたね」そう言われ、
「そうですね」と優は言った。
みずきは「都会から来たので静かすぎて何か怖いですよ。もし、よければそちらに行っていいですか?」と言われ、
優は「構いませんよ」と答えた。
しばらくして、みずきさんが部屋にやって来た。
優は部屋の冷蔵庫に入れてあるビールを飲んでいた。
「ビール飲みますか?」と優は聞いたら、
「少し飲みたいです」と言った。
みずきさんは一杯のビールを飲んだら、吹っ切れたように「3年付き合った人と別れたんです」と言って目に大粒の涙を浮かべていた。
そして、優の胸に飛び込んできて涙を流して泣いた。
優はみずきさんを抱き締めて静かに口づけをした。
どのくらい時間が過ぎたのか、、、、、優とみずきは布団の中で抱き合っていた。
みずきは過去の哀しみを振り捨てるように優に抱かれた。
そして、優の腕の中で眠りについた。
翌朝は二人で温泉に入り、昨日のことが嘘のように色んなことを語り合っていた。
朝食を食べてから、二人は近くにある露天風呂にいくことにした。
坂を少し下ったところにあった。小さな露天風呂ということもあり混浴だったが、誰もいなかったので二人で入ることにした。
お互い恋人のように仲睦まじく寄り添って入った。
みずきさんの裸を目の前にすると優はどうしても興奮してしまい、みずきも「朝から元気なんですね」と笑っていた。
優も「みずきさんがきれいな人だからですよ」と言ったら、みずきは照れ笑いして「どうもありがとう」と言った。
温泉に30分ほど入って、お土産屋に行って自分の部屋に戻った。
昼を過ぎた頃にみずきさんが部屋にやって来て、優に会うなり着ている浴衣を脱ぎ「私を抱いてください」と言って優に口づけをした。
優はみずきさんを抱き締めて、自分の浴衣を脱ぎ布団へと移動した。
みずきさんの乳房はマシュマロのように柔らかく、乳首はほどよい色をしていた。
優はそこを指先で揉んでみたり、舌先で刺激を与えた。
みずきさんは微かな吐息をもらした。
そして、徐々に刺激を与えると、声を殺して、微かな痙攣をしていた。優はみずきさんの指先で刺激してもらった。
そして、優は激しくみずきさんを求めた。
みずきさんも大きな声を出して、一気にエクスタシーの世界に向かいそのまま逝ってしまった。
しばらくは二人とも何も言わずに、天井を見ていたが、
みずきさんが浴衣をつけて窓際に行ったら、もみじの美しさに優さんを呼んで「もみじがきれいですよ見に来ては」と言われ、
そちらの椅子に座り窓の外を眺めた。
優は「この時期に来ていつもこの風景を見てるんですよ」と言った。
外の風景を眺めていると「女将さんが夕食できたよ」と呼んでくれた。
二人はさっそく、食堂に行ったら、女将さん夫婦と新たに新しい客が来ていた。
やはり、一人客でみずきさんと同じ都会から来た人で「水野七菜です」と紹介してくれました。
二人は「植田優」と「芝崎みずきです」と一人一人紹介をした。
「この旅館で知り合いました。よろしくお願いします」と言った。
みずきさんから「一人旅なもんでいろいろ話していると楽しくなりますよ」と言われた。
「今日は客3名と親父さん夫婦ですね」そう優が言うと、親父さんは「優さん女性が二人になってよかったね」と言った。
そしていつものようにビールを飲んで、夕食を食べた。
夕食が終わると各自自分の部屋に戻り時間を過ごした。
さすがに静かな町ではやることがなく、テレビを見るしかなかった。
11時を過ぎた頃に風呂に入ったら、みずきさんが入っていた。
「良く会いますね」と、みずきさんに言われ「そうですね」と言ったら、しばらくして七菜さんが入ってきた。
七菜さんは「私も仲間に入れてください」と言って入ってきた。
結構、物怖じしないで入ってくるので、聞いてみたら「ひとり旅で混浴にも良く入るのであまり気にしていません」と言った。
逆に優の方が二人に女性がいることで、興奮して笑われてしまった。
七菜さんはスリムな人で乳房はそれほど大きくはなく高校生のようだった。
でも、今年21に成ったばかりと言っていた。風呂のなかで身の上話を聞きながら時間を過ごして1時間後に部屋に戻って行った。
しばらくして、みずきさんがノックをして入ってきた。
みずきは「私、明日帰るので、優さんとの最後の夜を過ごしたいの」そう言って着ている浴衣を脱いで優の横に入ってきた。
優は何も言わず、みずきさんを抱き締めた。
そして、熱いキスをした。
みずきさんもそれに合わせて、優に口づけをした。
二人はともに連れ合うように体を求め、お互いの気持ちが頂点に達した頃にエクスタシーを迎え、なおも優はみずきさんを求めて逝った。
二人が体を放した頃には、みずきさんの大きな瞳には二筋の涙の後があった。
みずきさんは「明日からは過去のことは忘れて、前を見て頑張っていけそうです」と優に言った。
そして、次の日の朝早く旅館を出ていった。
優が朝起きて、朝風呂に入っていたら、七菜さんが入ってきて「おはようございます」と挨拶をして来た。
優も「おはよう」と言った。
何となく裸で異性との挨拶もおかしなもんで興奮してしまう。
ふっと、七菜さんに見られ「元気ですね」と言われ恥ずかしくなった。
優は「女性はいいですね。興奮しても変化がなくて」そう言ったら、
七菜は「本当は見られているだけで恥ずかしいですよ」とそう言った。
優は「こうやって見合っていると、性欲が起きてしまいますよ」
七菜は「そういえば、みずきさんとはあったんですか?」昨日来たときに仲良かったので、
優は「いいえありませんよ。混浴で風呂で会っているうちに仲良くなっただけです」❪みずきさんの気持ちを考えてあえて嘘をついた❫
「こうやって、会っていると、七菜さんとも仲良くなれるかも、、」
「そうですか」と、七菜さんは言った。
「私小さいし、胸も大きくないし、中学の男子見たいに見られるんですよ」
そう言って、七菜さんは全裸のまま一回りして優に見せた。確かに男の子のようだった。
「だから、中々恋が実らず、今だに彼氏ができないんです」
「21歳になってもいまだ処女です。なんか恥ずかしいです」
そう言って、七菜さんの目頭が熱くなっていた。
「何か一つ女性として認めてもらいたかった」
そして、湯船に入ってサッサッと出ていってしまった。
七菜さんも人には言えないことを抱えながら一人で旅をしているのだと思った。
その日の夕食の時に、浴衣姿の七菜さんとお酒を飲みながらお互いの身の上話で花が咲き9時頃まで話してしまった。
それでも話切れずにいたので、部屋に帰ってもその続きを話していた。
だが、11時を過ぎた頃に七菜さんは「浴衣を脱いで私を抱いてください」と真剣な顔で話した。
七菜さんは「私を女にしてください、そして、自分を見直してみたいんです。今の自分から脱皮したいんです」
優は今まで七菜さんの話を聞いて何とかその気持ちを叶えてやりたかった。
優はなにも言わずに浴衣を脱いで裸になった。
そして、七菜さんを力強く抱いた。
優は七菜の唇を奪った。
二人の唇がふれあい、気持ちが高揚していった。
優の唇が七菜の小さな乳首に触れ、微かな痙攣を起こした。
七菜は気持ちが昂りうっすらと涙を浮かべていた。
優は避妊具を付けて七菜を抱きしめて一つになった。
七菜は今までに感じたことのない痛みを我慢して受け入れた。
二人が離れた後には、避妊具に出血の跡が残っていた。
七菜は何も言わずにそのまま風呂場に行ってしまった。
優もその後を追って風呂場に行ったら、七菜は頭からシャワーを浴びて泣いていた。
今までの辛かった自分から殻を破ってすべてを流してしているようだった。
優は何も言えず、そのまま部屋に戻った。
次の朝、優がいつものように朝風呂に入っていたら、七菜さんが入ってきて「昨日はどうもありがとう、何かが吹っ切れた気がします。
今日、朝食を食べたら帰りますが、どうしても辛くなったら電話していいですか?」そう言われ「優はいいですよ、いつでも構いませんよ」と答えた。
そして、朝食後、優に挨拶をしてこの旅館を後にした。
昼を過ぎた頃に二人の女性がやって来た。
一人は皆月あおい、もう一人は永野杏華という大学の同級生だった。
二人に紹介され、優も「植田優といいます」と自己紹介した。
「この旅館、結構ひとり旅が多いんですよね。そういう意味では女性の二人旅は珍しいですよね」
親父さんは「この旅館のまわりは何もないですから、都会から比べたらはるかに静かですよ。
何もないから何かを考えるにはいいところなのかもしれません。ただ慌ただしく生活していると見えないものが見えることもありますから、
この静けさに身を投じて見てください。何か見つかりますよ」と話して調理場に向かった。
二人の女性は荷物を部屋に置いて、浴衣に着替えて久々に都会から離れ静かな温泉を味わった。
そして、夕食の時間を迎え、女将さんから呼ばれて食堂に来た。
夕食には親父さんの手料理がいくつも出てきた。優はいつものようにビールを頼んで二人の女性にも「どうですかと?」進めた。
二人の女性は快くビールを飲み干した。
飲むほどにお互いの話に乗ってきて時たま笑いがこぼれるほどに話が進んだ。
9時を過ぎ、ひとまずお開きにした。
そして、各自、自分の部屋に戻った。
11時頃に風呂に入っていたら「二人の女性がどうしてここにいるんですか?」と聞いてきたので、
「ここは、混浴なんですと話したら、初めて知りました」と言った。
「どうしますか?」
「後から入りますか?」
「いい経験だと思い一緒に入ります」と二人の女性が入ってきた。
二人ともスタイルのいい女性で、男性は自分だけだったこともあり興奮をしてしまった。
二人といいながらも団体になると女性は強いものだと改めて知った。
「あおいさんと、杏華さんに彼氏はいますか?」と聞いたら、
私たちは女子高、女子大と来ているので男性のボーイフレンドはできませんでした。
だから私たち処女なんです。成人の男性のヌードは始めてみました」
これを聞いて優はビックリした。
まさに怖いもの見たさという感じだった。
二人の女性はしげしげと優を眺めていた。
「興奮するとこんなに大きくなるんですね」
そういいながら二人の女性は何も隠さずに自然な感じに振る舞っていた。
あおいさんは「異性のことは、すごく興味があって、いろんなことを聞いたりしてるが、直接見るとすごく興奮する」と言った。
杏華さんも「男性の裸にはすごく興味あるのと話した」
優は二人の女性に見られて恥ずかしすぎて風呂を出ていった。
しばらくして、二人の女性はノックをして「暇でしたら、話しませんか?」と部屋に来た。
優もやることがなく、暇だったので二人の女性を部屋に入れた。
「先程は失礼しました。混浴とは知らずにあんな行動して、、」
「まあ、知らなかったのではしょうがないですよ」と優は言った。
「どうですか、ビール飲みますか?」と聞いたら「ええ、少しお願いします」とあおいさんが言った。
「そういえばさっきの話ですが、男性とは恋愛は無かったんですか?」
そう言われ杏華さんは「高校時代に恋心をいだいた人がいたんですが、実らぬ恋で終わりました」
あおいさんも「家庭教師の男性に恋心をいだいたんですが、親の反対でダメになったしまいました」
「それ以来、異性と交わることが無かったです」
だから「今日、優さんのヌード見たときは衝撃的でした」
「男性が興奮するとこんなにも大きくなるのが不思議でした」
「前にここから精子が出ると聞いたのですが、実際どんなものかはいまだにわからないです」あおいさんはそう言った。
杏華さんは「こんなことは、酔っていないととても話せないですよ、実際に見て見たいのですが、そうはいきませんよね」
優は「いきなりは無理なことですよ」と答えた。
優は二人の女性を見て、異性の触れ合いがないまま年を重ねても、分からないことが多いものだと感じた。
二人の女性は酔いがまわったのか、優の部屋を後にして自分の部屋に戻った。
翌朝、優が朝風呂に入っていたら、
二人の女性が入ってきて「昨日は無理を言ってごめんなさい」と謝ってきた。
優は「気にしていないから」と言って外の景色を見ていた。
今日はもやがかかっていて遠くは見えないが近くのもみじは赤くきれいに輝いていた。
優は朝食後、この旅館を離れることを二人に伝えた。
「もし、都会で会えるようでしたら、連絡ください」と言って湯船から出ていった。
優は朝食後、精算して蔵王の旅館を後にした。
その後、みずきさんからは、新しい彼氏ができたという知らせがメールで届いた。
七菜さんは、やっと自信が持てて今は美容師の見習いをしています。あの時はどうもありがとうございました。
そうメールで連絡が来た。
二人の女性からはなんの連絡も来なかったがそれなりに頑張っているのだと思った。
今日も都会の空は青くすんでいた。
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