第3話 赤い人魂

まだ私が小さい頃です。確か5歳、6歳の時だったのですが、その話は今でも覚えています。


夏のお盆の時期の話です。

母と私と姉は母の実家の祖母の家に帰省してました。

そして夜、帰る際いつものように祖母が帰る私たちを玄関で見送ってくれました。

そのは月が出ていて、星がとても美しかったことを今でもハッキリおぼえています。


残念ながらそれから数分後。私達姉妹は疲れていたのか寝てしまいました。

なのでここからの話は母が見た話です。


母の実家と今住んでいる家は約1時間ほどの距離が有ります。その際に山道の峠を通らなければいけません。


そしてその日も母が運転する車は峠に差し掛かろうとしてました。


森の中なので街灯も何も無いところを走ってると、ふと横に光を感じました。


運転中ですが、一瞬スピードを緩めてから見ると赤い光のような玉が車と同じスピードで走っていました。


今日流星群あったけ……?と母は思いながら再び前を向きました。

しかし、赤い炎のような玉はずっと車と同じ時速50キロほどのスピードでくっついてきました。


ふと、峠前の蕎麦屋でその玉は消えました。


次の日母は新聞を確認してました。流星群が落ちたという内容を探す為に。


しかしそんな記事は1つも見つかりません。

新聞には民主党政権のうんたらかんたら。そんな内容がデカデカと書いてあるだけでした。


さて、そうなるとあの赤い炎のような玉はなんだったんだ……となりました。時速50キロか60キロの高速で走るものなんて聞いたことありませんし、また車の関係の光だとしたら蕎麦屋で消えたのは少し不可解といいますか……というか、森の中でそういうのって反射するのでしょうか?


とにかく母はあれはなんだったんだろう……と思いながら忙しい日々を送っていた時、近所のママ友からこんな話を聞きました。


A峠蕎麦屋強盗殺人事件。


よくある話です。老夫婦が営む蕎麦屋に強盗が押し掛けて、店主を殺した後に金を強奪。


母はあの人魂は、きっとその被害者のものだったんじゃないかと思ったと言ってました。


それを聞いた私はしばらく……いや、今でもその峠が苦手です。オカルト話が好きな私ですが、この手の話を聞く度に幽霊が見れなくてよかったと思ってしまいます。

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家の周りを徘徊する甲冑 八月朔 凛 @sakarasaku

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