総集編～言の葉～

＜二十＞吐く

言葉がボロボロでみすぼらしい

鍵は外さずそのままに

無心で今日を綴りだす

癇癪（かんしゃく）をなだめられるように

考え抜いて送信を

百三十字まできたならば

少し長さを短くし

百四十字になるならば

内容を全部ゴミ箱へ

今日も輪が取り囲む

ずっと周りを回ってる

その輪に笑顔で混ざらねば

一生チャンスを逃してる

囲まれた負け組を一緒に嗤う

嗤いを止めれば私もそこへ

それだけはだめ

一緒に嗤って嘘を吐く

言葉を考え媚びを売る

辛い　辛い

欄を開いて既読をつけて

そこから考え返信を

既読から返信は迅速に

そこから一秒遅れたならば

すぐに私の首は切れる

電子の声に返事をして

またそこでも嘘を吐いてる

苦しくて吐く

言葉を吐く

でも嘘しか吐けないから

私は臆病者だから

同調することしかできない

否定の言葉を吐き出せない

嗤おう

嗤おう

あの子を嗤おう

私はあなたの味方じゃない