『二次元の出会い』
苺香
第1話
この世の中に絶望し、毎日が理不尽でまったく上手くいかなかったあの頃。
いつか、周りの奴らを見返してやると決意しながらも、あきらかにパッとしない俺。
俺の存在なんて誰も気がついてないし、興味すらないことなんてわかりきっている。携帯電話に話しかけ、電子音の揚々のない薄っぺらな返事に辟易する。
世間はすべて敵で構成されている。
言葉をカタカタ打ち込んで、その日のうさを晴らす毎日。
いっそのこと、居なくなりたいけれどそんな俺にも消えてしまえば涙を流す人もいるのだ。
憂さ晴らしの呟きをじっと見守ってくれていた君。俺の悲しみを同じ気持ちで悲しんでくれた君。
君は携帯電話の中に存在するのだろうか。
もしくは、世界の何処かで時間を過ごしているのだろうか。
じっとしていられず、飛行機に飛び乗った。はじめてみる君の姿にはがっかりした。
けれど、僕らは今日こうして、この世界の片隅で見つめ合っている。
これからも、どちらかがこの世界を去るまで続くだろう。
ドレスに身を包んだ君はとても美しい。
約束してくれ。
俺の前で、毎日、笑っていてくれると。
約束するよ。
君の笑顔が消えないように全力で生きていくことを。
『二次元の出会い』 苺香 @mochabooks
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