第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部

UD

二十首連作

出会いは 春風の中 あの街で あの日の君に 伝えたいこと

このまま あなたの視線に 飲み込まれ 今も輝く 青い心に

深緑の 遠くの山を 指差して 故郷の事 聞かせてくれた

積りたる 家の明かりと 雪灯り 積もる時間も 永遠と信じて

笑いあう 言葉と心 苦しくて あなたとずっと いられぬわが身


フレームの 向こうの景色 色褪せて いつもの笑顔 止まったままで

幸せの 定義なんてと 笑う君 私のために あなたのために


言の葉に 乗せられなかった この想い いくら泣いても 帰ってこない

もう一度 やり直せたら あの時を 君を救うと 思っていたのに


くるくると 淡くはかなく 染み込ませ らせんの構造 思いの違い


あの頃を 思い出す花 君の色 玄関先に とりどりと咲く

僕ひとり 背負った気でいた なにもかも 君に話せば 変われたのかな

今もなお 忘れられない 詩がある 君が見せた 最後の笑顔

一人きり もう泣かないと 決めたのに 銀のリングの あせない想い


雨色が あなたの瞳 埋めていく あの思い出を 忘れるように

にわか雨 今の自分を 見てるよう 素直に言えない 私の想い


繰り返し あなたはいつも 嘘ばかり それでも心が 明日を見つめる

いつまでも 雨降りしきる 錆色の 変わらない街 私は独り

灰色の 季節は変わり 朝の道 色付けていく あじさいの横


人ごみの 街の雑踏 通り過ぎ あの懐かしき 青空見上げ

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