第13話 letter

勉へ


この手紙が届いたときには私はもういなくなっていると思います。びっくりさせてしまったよね、ごめんなさい。どうしても、あなたに伝えたいことがあるからこの手紙を書きました。

 私が死ぬことはだいぶ前から計画していたことなのです。私は、この世界で生きていく理由が見つけられなかった。パパやママは、私を大事に育ててくれたし、勉に会えたことはめちゃくちゃ嬉しかった。でも、なんか心にぽっかり穴が開いていた感じがして、それが塞がりそうにもないし、なんだか気持ちが悪かった。

 勉はあの時言ったよね、「自分的革命を起こすんだ。」「心の中の化け物を逆に支配してやる。」って。それを聞きながら、素敵だなって思った。私も、革命を起こしたい。でも、私的革命の方法は自分がいなくなることじゃないかとも思ったの。

 今まで、いろんなことをして心の穴を塞ごうと必死だった。でも、それには疲れちゃった。この苦しみから解放されるには、これしかなかったと思う。勘違いしないで、私は「死にたがり」な人ではないの。これしかなかったの。許して。

 勉、あなたは優しい人。私が会ってきた人の中で一番優しかった人。それも、他の人より違う質の優しさである気がする。私の心に穴がなければ、きっとあなたと一緒にいたいと思えたはず。

 私は、私的革命を起こし、終わらせる。先にあの世に行ってきます。天国ではロックンロールが響いているはず。だって、カート・コバーンやクリス・コーネルが歌って待っているから。レイン・ステイリーだってそこにいるはず。勉はまだ来ちゃだめだよ。

 最後に、勉の革命が成功することを応援しているよ。辛くなったら私が教えた音楽聴いてね。短い間だったけど、ありがとう。あなたに出会えて本当に良かった。お先、失礼します。

                                 三浦朋美









「音波的な何か」


耳にはめて

キミは心地よく

揺れている

まるで

天国での

ロックンロール


孤独を包んだ正体

ユラユラと

運んできたよ

それは心の底で響いた

キミの優しさを探り当て

掘り返し

消化した


思いを波に変換し

脳に戻して

キミは波に乗って

いつか吐き出す

その時まで

辛抱して


耳に気を入れ

内を無視して

ただひたすらに

まるで

天国の

ロックンロール

聞かせて

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