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伽藍の堂

伽藍の堂

二ノ前はじめ@ninomaehajime

おすすめレビュー

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★★★
★15
5人が評価しました
本文あり
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本文ありのおすすめレビュー

  • 小野塚 
    1630件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

     伽藍の語り、白き筺に 名残り。

    堂内の須弥壇には『うつほ姫』なる神が
    祀られている。夜毎、譚を語り昇華へと
    促す、その語り部となった『少年』。
     彼の語りは宵闇の中、伽藍の堂に朗々と
    響き、また白き筺の呼応に相乗しては
    研ぎ澄まされて行く。
     彼の物語る話の数々…氾濫する河川の
    人身御供の娘の譚、病み疲れた子が障子の
    向こうに見る金魚の譚、紅い千本鳥居の
    神隠の譚、そして、人の理を超えた杣人の
    終を求めて彷徨う譚…。
     何処かで耳目にしたような、美しくも
    不思議な物語が夜毎、伽藍の堂に瓏々と
    響き渡る。

    そして、遂に筺は満ちて昇華の決壊を
    見せるが。


    後に残るもの。

    ただ、彼の語る譚と少女の嬌声だけが
    いつまでも白き虚の筺の中に。

    • 2024年5月25日 02:04